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新しいお話です。
とある映画の、男の子の設定をちょこっといただきました。
内容は全然違います。(というか、観たのは随分前なのでかなり忘れてるというか。www)
映画のタイトルを見て、新しいアレかなあと観てみたら、全然違ったんですよね。
「なんでこのタイトルにしたんだろう?」と思ったもんです。
でも面白く観ました!(⌒▽⌒)

ではどうぞ。
猫の画像はフリー画像を使わせていただきました。






「フーーッ!!!」

その声とともに大きな三毛猫が何処からか飛んで来て、俺がやっと手に入れたパンのかけらを横取りして行った。
ニタっと笑っているような気さえする。

弱いものイジメをするのか。


取り返そうと奮闘しても身体の大きさが違うので到底敵わないということは、この1年で身に染みて判っているので、俺は大人しく路地裏に逃げた。



「・・・」

腹が減った。
最後に食べたのはいつだっただろう・・・。




俺はシン。
1年前までは18歳の人間でこの国の王子だったのだが、実は魔女だった継母ファヨンによって猫にされてしまったのである。

それも子猫だ。
どうせなら成猫が良かった。
そうしたら今のようにパンを取られることもなかっただろうに。




路地裏を抜けると表通りで、人々が行き交っている。

猫にされてしまった時は、誰かにシンだと判って欲しくてわざわざ人間に近付いたものだ。

が、猫撫で声の男に抱き上げられて小屋に連れて行かれた時、皮を剥がれそうになったのである。
子猫の皮は柔らかいから高く売れるとか何とか言って。

男の顔に爪を立てて逃げたのは言うまでもない。




王妃だった俺の母は、2年前に亡くなった。
その1年後に客人としてやって来たファヨンに、父である国王が手玉に取られたようで、ファヨンはあっという間に後妻として王妃の座に就いたのである。

今となってはその理由が判る。
ファヨンの魔法だ。


そしてファヨンには連れ子のユルが居るのだが、多分、彼を王子にするためには俺が邪魔だったのだろう。

彼女は突然俺の部屋に入って来て、優雅に手を上げた。
何事なのか全く判らなかったのだが、ちょうど部屋に居た護衛が用件を聞こうと前に出たことで、ソレをまともに食らってしまい、彼は眼を見開いたまま絶命したのだ。


「ふん、邪魔するからだ」

ファヨンはそう言うと、もう一度俺に向かって手を振り上げた。
魔法なのか!?と思ったものの逃げる隙もなく、俺も多分ソレを受けたのだ。


が。

俺は無事だった。
何故か猫になってしまったが。


「何故なの!??」

そのあとは何がどうなったのか判らないまま、眼を吊り上げて再び手を上げたファヨンから逃げるべく、俺は窓から飛び降りたのである。





あれから1年になる。
父の様子が気になってこっそり城に入ろうとしたことはあるが、門番たちが、「猫を見たら片っ端から殺せ」という命令を受けたとかで、何故だろうと言っているのを聞いたのだ。

それでも何とか戻ろうと思っていたが、番犬代わりのような大型犬が城の周りにうじゃうじゃ増えていて、迂闊に近付くことも出来なくなった。

つまりファヨンは、俺を殺すことを諦めてはいないということだ。




そんなことを思い出しながら人間に捕まらないようにコソコソ歩いていると、女の子に見つかった。

「ママ! ネコがいる!」





「このネコ家に連れて帰ってもいい??」

母親はそんなやせ細った野良猫なんてと渋ったが、女の子が俺を抱きかかえて離さないので、結局母親が根負けして、俺はその女の子の家に連れて行かれた。


こういう子供は前にも居た。
その時はひと月ほど食べるのには困らなかったが、先住犬が居たのだ。
その犬を可愛がっていた父親が、子供が居ない時に俺を捨てたのである。
戻ろうと思えば戻れたが、俺はそうしなかった。


今度も少しの間だろうか。
だがその間は食べることが出来るな。

女の子の腕の中で、俺はそんなことを思っていた。




その家は居心地が良かった。
女の子チェギョンはきちんと俺の世話をしてくれたから。

「ジュン、お腹すいたでしょ」

ジュンという名で呼んでくれて、食事は勿論、風呂も入れて快適だった。
ただ、夜はチェギョンが俺を抱いて寝るので、彼女が寝返りを打つたびに下敷きになりかけて、飛んで逃げるの繰り返しだったが。



それでも楽しく暮らしていた。
チェギョンの家は大きく、父親は事業をしているようだった。
なのでというか俺も虐待などされず可愛がってもらえたのだ。

勿論、城に帰ることを忘れてはいないが、今はどうすることも出来ないのだから、この町で様子を窺おうと思っている。





そんな生活は半年ほどで終わりを告げた。
チェギョンの両親が強盗によって殺されてしまい、数日後、葬儀が終わってから、子供ひとりになった家に親戚だという夫婦がやって来たのである。

「あなたがチェギョンね。 私はお母さんの従姉妹なの。 これからは私たち3人で暮らしましょうね」
「・・・はい、おばさん」

12歳のチェギョンは、俺を抱いたまま小さくそう返事をした。

「その小さい猫はどうするの?」

その女が俺を見る眼は冷たかった。


そういえば、俺は全然大きくならない。
今でもまだ「子猫」なのだ。
やはりファヨンの魔法のせいだろうか?


「私の猫です。 私が世話をしています」
「そう。 じゃあお願いね」



その時、男、つまり女の夫が現れて荷物が届いたことを知らせに来たので、女はチェギョンの部屋から出て行ったのだが、俺は男の残り香が気になった。

この匂いは・・・、強盗の匂いでは?





強盗がやって来たのは当然夜で、チェギョンは上の階でよく眠っていた。
俺もチェギョンの隣で寝ていたのだが、物音で眼を覚ましたもののあまり派手な音がしなかったので、もしかしてもうすぐ夜が明けるのか、それで母親が起きて来たのか、くらいにしか思わなかったのだ。

そうしたら、強盗が部屋を漁ってチェギョンの両親を殺していたのである。



あの時はめちゃくちゃ後悔した。
可愛がってもらえて大事に飼ってくれていたのに、俺は物音に気付きながらも知らないふりで寝ていたのだ。

あまりに申し訳なくて暫くチェギョンの顔を見ることも出来なかった。





「これからよろしくな、チェギョン」

食事の時に男はそう言ってチェギョンの頭を撫でていたが、やはり、あの時部屋に残っていた強盗の匂いとこの男の匂いは同じだ。

嬉々として家を見回している様子から、この家を手に入れようとチェギョンの両親を殺したとしか思えなかった。
親戚だというのも怪しい。



だが、この姿の俺では、やはりどうすることも出来なかった。

一応人間の言葉は喋れるのでチェギョンに警告しようかと考えたのだが、猫の言葉を信じてくれるだろうか?ということと、その事実に驚いたチェギョンが、男に何か言って両親と同じことになってはと思ったのだ。

それに、もしかしたら匂いはただの思い違いで本当に親戚かもしれないので、俺は暫く様子を見ることにした。
だがもしチェギョンに何かあれば、今度こそなんとしても俺がチェギョンを守ってみせる。





男と女は、チェギョンを特に虐げることもなく、普通に生活していた。
俺の食事は出なかったが、チェギョンが分けてくれて、俺は今まで同様彼女の部屋で暮らせていた。

ただ、彼らが仕事に行っている様子はなく、二人は家から出たり入ったりを繰り返している。



ある時、棚にあったはずの銀の食器がなくなっていることにチェギョンが気付いて、女に聞いていた。
すると。

「生活に必要なものを買うために売ったの。 あなたのお母さんに、そうしてもいいって言ってもらってたから」
「・・・そうですか」


本当だろうか?


それを聞いてチェギョンが引き下がったので、それからは二人は堂々と金目のものを持ち出すようになった。
ただ、チェギョンは父親の時計と母親のネックレスをこっそり部屋に隠していた。
売られたくなかったのだろう。





チェギョンのことが気になるので彼女の傍から離れられず、城の近くにも行けないまま半年以上が経った夜、階下から話し声が聞こえて来て、俺はドアの隙間から聞き耳を立てた。

女が溜息を吐きながら言っている。

「売るものが少なくなってきたわ。 どうする? 此処には住みたいし」
「まだあるじゃないか。 それも金になりそうなものが」

男の声は酒に酔っているようだった。

「何? 宝石とかは真っ先に売ったのに、他に何があるの?」
「チェギョンさ」

チェギョン?

「でもまだ子供よ?」
「ガキを好む奴は大勢居るさ。 身体の小さい15で押し通せばいい。 若い処女で、おまけにそこそこ可愛いし。 高く吹っ掛けてやろう」


何!???
やっと13歳のチェギョンを売り飛ばそうというのか!!??





帰還


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コメント 24

There are no comments yet.
yurin
2022/10/02 (Sun) 22:55

どうなる!

こんばんは^^v

魔女ファヨンの力で――
シンは子猫のされてしまったのですねv-363
身体が小さいので危険なことが多かったようですが。
チェギョンに拾われてからは幸せだったようですねv-221
でも、チェギョンの両親が強盗に殺されてしまいv-222
その強盗が親戚だと偽って居座ってしまいましたv-217
真実を伝える術があっても――
堂々とそれをすることができないもどかしさ…
でも、どうにかしないとチェギョンが売られてしまうv-237
ちび猫シンはどうするのかv-190
お話の続き楽しみにしてますねv-352
今日はありがとうございましたv-354

まあむ
2022/10/03 (Mon) 04:48

おはようございます
スタートから読みごたえありますね~
子猫として助かったのは亡くなった母親のおかげかな?
なんて考えましたが、その後は大変な思いをして生きてるシン君。
チェギョンと出会いやっと┄と思ったら、なんてこと!
後悔してるシン君ですが、子猫の彼に
彼女を守る力があるでしょうか?

tiem
2022/10/03 (Mon) 05:48

merryさん、おはようございます!
新シリーズスタートですねぇ(^^)

シン君、ファヨンによって猫にされたのねぇ、それも子猫。
父である陛下を手玉に取って王妃の座に。
そうなると邪魔になるのが皇太子であったシン君。
我が子、ユル君を皇太子になんだろうねえ。
だから、魔法を使い猫に。
城に近づく猫に対し、犬を。
護ってる兵士にも猫は処分をなんて。
そのシン君は、その後、悲惨な思いを。
拾ってくれたチェギョン。
可愛がってくれていたんですねぇ・
でもその家に強盗が入り、両親は惨殺。
その男と、一緒に住んでいた女。
その男の匂いが泥棒だと察したシン君。
その時、きちんと話をしていたらチェギョンの両親は。
チェギョンの家のお金になる品を売りさばく男女。
遂に、チェギョンまで売ろうとしてるみたいねぇ・
恐い男女ですねぇ。
シン君、子猫だけにどうすることも。
城の事も気になるし、チェギョンの事も護らないといけないし。
如何なる展開になっていくのか、興味津々です(^^)

-
2022/10/03 (Mon) 06:29

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-
2022/10/03 (Mon) 07:50

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ビオラ 
2022/10/03 (Mon) 08:11

merryさま、おはようございます。
魔女ファヨンに子猫にされたシンくんに強盗に両親を殺されたうえに、売られそうなチェギョン。どんなお話になっていくのかドキドキします。

sai*****
2022/10/03 (Mon) 09:28

おはようございます😊

シンくんは、魔女ファヨンによって小猫にされてしまったんですね

父である国王は、魔法によって手玉に取られてしまい、ファヨンは王妃の座に…

ファヨンの息子ユルを王子にするためには、シンくんが邪魔だったんですね😣

小猫になってしまったシンくんは、ずっと子猫のままで大きくならないのもファヨンの魔法のせいですかねぇ…

国王である父の様子が気になって、こっそり城に入ろうとしても、門番たちが、『猫を見たら片っ端から殺せ』という命令を受けた…という話を聞き、様子を見ることも叶わなかったんですね😢

シンくんは、大変な思いをして過ごしてきましたが、チェギョンに拾われ、きちんとお世話してもらって、幸せに暮らせていたのも半年程…

強盗によって両親は惨殺されてしまい、その強盗と同じ匂いのする男と一緒に住むことに…

強盗に入られたときに、物音に気付きながらも知らないふりで寝ていたことに後悔するシンくん…

そして、今度はチェギョンが売られようとしていますが、子猫シンくんは、どうやってチェギョンを護るのでしょうか?

チェギョンをどう護るのか、シンくんが人間に戻るには…、人間に戻ったシンくんとチェギョンがどうなるのか…

お話の続きを楽しみにしています🎵

-
2022/10/03 (Mon) 10:02

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-
2022/10/03 (Mon) 11:08

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merry
merry
2022/10/03 (Mon) 18:53

To yurinさま

コメントありがとうございます。

子猫だと敵が多すぎますね。
チェギョンに拾ってもらえたのはよかったですが、彼女もヤバくなりました。( ̄◇ ̄;)
ちび猫(笑)シン君はどうするんでしょ??
でも先ず逃げないとねえ。

merry
merry
2022/10/03 (Mon) 18:55

To まあむさま

コメントありがとうございます。

はい、そのつもりです。
(最近ハリー・ポッターの小説を読んでるので。www)
そ、何たって子猫なので、他の誰かに出会いたいもんです。^^;

merry
merry
2022/10/03 (Mon) 18:58

To tiemさま

コメントありがとうございます。

殺されるはずが幸いというか猫になっちゃったシン君です。
でも子猫じゃ何も出来ませんねえ・・・。
とにかく今はチェギョンと逃げないとヤバイですね。^^;

merry
merry
2022/10/03 (Mon) 19:00

To m さま

コメントありがとうございます。

シン君を拾ってくれたチェギョンがエライことになりました〜〜。( ̄◇ ̄;)
城の様子を窺いながらチェギョンの家で暮らせたらよかったんですが・・・。
そう!形見の品を持って逃げないと!!

merry
merry
2022/10/03 (Mon) 19:02

To n さま

コメントありがとうございます。

命があるとはいえ、子猫じゃねえ・・・・・。
拾ってくれたチェギョンが売られそうです!
とりあえず逃げないと!ですね。
「シンにゃん」って良いなあ〜〜〜〜〜〜!!!(≧∀≦)

merry
merry
2022/10/03 (Mon) 19:04

To ビオラさま

コメントありがとうございます。

シンチェ、どっちも大変ですよね〜〜〜〜〜〜〜〜。
とにかく逃げないと!です〜〜〜。( ̄◇ ̄;)

merry
merry
2022/10/03 (Mon) 19:06

To sai*****さま

コメントありがとうございます。

子猫になっちゃったシン君です〜〜〜。
いつか必ず城に戻ってファヨンとユルを成敗しないとね〜〜〜。
でも今は先ずチェギョンです。
とにかく逃げないと!!!( ̄◇ ̄;)

merry
merry
2022/10/03 (Mon) 19:08

To と さま

コメントありがとうございます。

ユソンさんのお守りのようなものがあったことにしようかなあと思っています。
(ネタバレwww)
シン君もですがチェギョンもヤバイ!
そうそう、子猫じゃ何も出来ないので、とにかく逃げよう!!^^;

merry
merry
2022/10/03 (Mon) 19:10

To j さま

コメントありがとうございます。

親戚なんて怪しいですよね〜〜〜〜〜。
今度はチェギョンを売ろうなんて恐ろしい連中です。
さっさと逃げないと!( ̄◇ ̄;)

Miko
2022/10/04 (Tue) 12:00

こんにちは!

ファヨンが魔女なら連れ子のユルは?
魔女の子か~ユル自身は知らないかしら?

も~何かで反射させてファヨンを猫より小さくなって欲しい。

どうやって危機回避をするんだろう😣
頑張り抜いて下さいネ🙏

merry
merry
2022/10/04 (Tue) 18:57

To Mikoさま

コメントありがとうございます。

ユルは・・・、どうなんでしょうねえ???
多分そんな力はないんじゃないかな〜???www
はい、頑張って欲しいですね〜〜〜。

-
2022/10/04 (Tue) 22:22

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-
2022/10/04 (Tue) 23:56

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merry
merry
2022/10/05 (Wed) 07:05

To ふ さま

コメントありがとうございます。

シン君の魔法は・・・、やっぱファヨン本人じゃないと無理かなあと思います。
それとも誰か、強力な味方が出現すればいいけど、私にもまだ判らない。^^;

merry
merry
2022/10/05 (Wed) 07:11

To し さま

コメントありがとうございます。

お!!ユソンさんのことも奴の仕業にしようかな〜???
そしたら彼女のことも説明しやすいし!(そうする!\(^o^)/)
そうそう、チェギョンはまだ13なので子猫のシン君ともども保護者が必要です。
今夜登場します〜〜〜〜〜。(≧∀≦)

to return(完)