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伍拾壱 21(完)



ユル君と一緒に陛下たちに挨拶し終えたユヒを伴って、私は中庭の東屋に向かった。
緊張を解いてあげたかったのだ。
私と二人ならゆっくり話せるだろうから。

・・・・・いや、本当のことを言おう。
ユル君が大学でどんなだったかめちゃ気になったのだ。



やはりというか、ユル君はユヒの前に頻繁に出没したらしい。

『イマドキ身分なんて関係ない、僕たちの気持ちが一番なんだ』

「僕たちの気持ちってなんなのよと思ったわ」

実際それを口にしたらしいが、恥ずかしがらなくてもいい、君の気持ちは判ってると言われたそうだ。

・・・・・シン君みたい。


で、ユヒより周りがすっかりその気になって、ユル君が見えると「ユヒ、彼氏よ!」と言ったり、ユル君が近付いて来ると、ユヒの友人たちはさーーーっと離れてしまったりしたそうだ。


おまけに、惠政殿さまがお忍びで大学に来ていて、「あなたがユヒね!」とハグされたとか。
もう、逃げることも出来なくなったそうだ。

・・・・・判るわ〜〜〜〜〜。



が、難しい数学の問題には二人で取り組んでいるらしい。

「だってユルは賢いもの」

その賢いユル君と難解な数式に挑むのがすごく楽しいそうだ。

・・・・・私には判らない世界だ。



でも、なんだかんだ言っても、ユヒもユル君を好きになったらしい。
良かった。






その半月後、私とシン君はイギリスに向けて出発した。

とても良い国で、王室は国民に慕われている。
スキャンダルもあったが、そんなことくらいでは揺るがないようだ。

住みやすくて人々も優しく、私たちは、祖国とは違う空気感の中、楽しく穏やかな日々を過ごした。




そして1年後、私が妊娠したので、安定期に入るのを待って帰国することが決まった。
留学期間は短くなったが、そんなことは構わない。

少し膨らんで来たこのお腹に赤ちゃんが居る。
それだけで幸せなのだ。



帰国したその日、ユル君とユヒの婚礼が執り行われると知らされた。
ユヒが妊娠したので、バレないうちに式を済ませてしまおうということだった。

あのユル君が速度違反??
おまけに惠政殿さまたちもそうだったの??

ただただびっくりした。





「ソウル大学生がこんなことになるなんて、すごく恥ずかしい!」

まだお腹が目立たないユヒは、婚約発表後すぐに入宮して、今、東宮殿の私の部屋で思い切り愚痴っている。

結婚は大学卒業後で速度違反は絶対にダメ!!と、ユル君に太い釘を刺していたにも拘わらずこんなことになってしまい、サラリーマン家庭のユヒの両親は驚愕していたしで、ユルの奴!!と、憤慨しているのだ。

が、赤ちゃんに罪はないし大事にしたいので、ユヒは散々怒鳴った後、優しくお腹を撫でていた。

「ごめんね、あなたは悪くないのよ。 ママはあなたを愛してるわ」

その言葉に、私も思わず笑顔になった。





イギリスに居た頃も何度も連絡を取り合っていたガンヒョンには、恋人が出来た。
ギョン君ではない。

「何故ギョンじゃないんだ?」

そりゃあタイプではなかったのだ。

が、シン君もユル君も、あれだけ押してたのにと不思議そうだった。


「ギョンは王族なのに」

シン君があまりにしつこいので、そんなことは関係なく好みの問題だと言うと、彼はすぐに笑顔になった。

「じゃあチェギョンは俺だから堕ちたんだな!」

“堕ちた”なんてと一瞬言葉が出なかったが、そうよと言うと、シン君はすごく喜んでいた。
まあ良い。




皇女へミョンさまには、実は10歳年上の恋人が居る。
キム王族の次男のヨンジュさんで、3年前からアメリカに行っている。
キム家の会社のアメリカ支社を軌道に乗せる為だ。

へミョンさまがアメリカに留学していた時、一緒に暮らしていたらしい。


ただ、シン君とユル君はそれを知らされていない。
皇太后さま曰く、自分のことを棚に上げて「同棲していたのか!?」と怒るというのだ。

なので、結婚後の女子会でそれを聞いた私は、シン君は勿論、誰にも言っていなかった。




ユル君の婚礼当日、そのへミョンさまの恋人キム・ヨンジュさんが招待されていた。

実は二人はこの夏既に入籍していて、アメリカで結婚式をする為にへミョンさまを迎えに来たのだとか。
勿論陛下たちも承知なのだが、へミョンさまとヨンジュさんが席を外したのをいいことに、シン君とユル君が大騒ぎだった。


「いつの間に?」
「キム・ヨンジュさんって僕たちよりひと回り年上じゃないか! ヌナが未亡人になる確率は高いぞ!」
「何ー!? 絶対ダメだ!」

などと喚いた二人に対して、私とユヒの声が重なった。

「「煩い!!」」

馬鹿なことを言った二人に腹が立って、陛下たちが居ることを失念してしまっていたのだ。


「おめでたい日のおめでたいことに水を差すんじゃないわよ!」
「そんな確率の計算をするなんておかしいわ!! 馬鹿じゃないの!?」

私とユヒの剣幕にシン君とユル君は声も出せずにフリーズしていて、真っ先に笑った皇太后さまに釣られるように、皆さま大笑いだった。

その時やっと皆さまの前だということを思い出して、ユヒと二人で恐縮してしまったが、でもちょっとスッキリした。





それからひと月後、へミョンさまとヨンジュさんは笑顔でアメリカに発った。

「お元気で、皇女さま」
「もう皇女じゃないわ。 チェギョンもユヒも元気な赤ちゃんを産んでね。 シンとユルの手綱をしっかり引くのよ!」
「「はい」」

ヘミョンさまの言葉に苦笑いしながら、私とユヒは声を揃えた。







それから2年後。

産み月になったへミョンさまのところへ皇后さまが向かった。
陛下と皇太后さまはお留守番だ。

「写真を送ってね、皇后」
「はい、皇太后さま」
「・・・私も行きたいのに」
「あなたは公務を頑張ってください。 アメリカで孫と共に見ています」
「ひと月もすれば帰って来るではないか。 それほど妻を離したくないのか?」
「・・・」

皇后さまをお見送りしている私たちの前だというのに、皇太后さまの言葉が図星だったのか、拗ねたような陛下に笑えた。




私とシン君の息子サンは1歳半、ユル君とユヒの娘ユンジはもうすぐ1歳になる。

「サンと学年が違って良かったわ〜」

そう言って笑うのは恵政殿さまだ。
速度違反がバレないというのだ。

二代続けて速度違反なんて!!と散々怒っていたが、今では孫にデレデレのおばあちゃんになっている。
勿論、サンのことも可愛がってくれる。




ユル君とユヒはもうすぐ大学を卒業する。
当然私たちもだが、彼らはなんと、ユヒが首席でユル君は次点だそうだ。

あの大学で!!
・・・・・私とシン君の成績は言いたくない。




そして昨日、私の妊娠が判った。

「二人目も男かな?」

サンを抱っこしながらシン君はそう言ったが、私は女の子でも良い。
既にサンが居るし、大体、李家の男があまり増えるのはどうかと思うので。

勿論口には出さないが。

「女の子も可愛いわよ」
「そうなんだよな〜〜〜〜〜〜。 でもいつか他の男に取られるし!」
「・・・・・」

それがどうした!












終わりましたーー!\(^o^)/
皆さま、お付き合いありがとうございました。❤️

しさまに原案をいただいた「堅物ユル君」、如何でしたか?
皇太后さまに「リケジョ」を言わせる場面を作れなくて残念でしたが、
思い込んで突っ走るシン君や文句タラタラのユル君を書くのは楽しかったです〜〜〜〜〜。(≧∀≦)
しさま、ありがとうございました〜〜〜〜〜!!(⌒▽⌒)


で、次は20000コメント目だったmさまからのリクです。
「ギョンを浮上させる」お話で、タイトルは「Honestly 」です。
タイトルが欲しい!とおねだりしていただきました!(≧∀≦)
お楽しみに〜〜〜〜〜〜。

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コメント 22

There are no comments yet.
-
2022/09/17 (Sat) 23:07

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yurin
2022/09/17 (Sat) 23:28

平和な家族

こんばんは^^v

チェギョンの好奇心――
どうにも抑えることは出来なかったようですねv-222
やはり――
ユルも〈李家の血筋〉でしたねぇ~(笑)
しっかり〈勘違い男〉やってたんだ(プッ)

思い込みの激しい〈李家の男たち〉
頑固なところは玉に瑕だけど、相手を想う〈愛〉は本物だから…
何だかんだ言っても幸せなんでしょうねv-221
でも、息子のサンも、そうなっちゃうんですね(笑)
親見て育っちゃうから、早い目に自覚しそうですねv-221
成長が楽しみですねv-352
お話ありがとうございましたv-354

sai*****
2022/09/18 (Sun) 00:23

こんばんは😊

ソウル大学でのユルくんの様子は、チェギョンと同じく気になりましたぁ😊

やっぱり…というか、さすが…というか、『李家の血筋』を発揮していましたね!

『僕たちの気持ちが一番なんだ』とか、『君の気持ちは判ってる』とか、ホント、シンくんと同じですね😊

『度違反は絶対にダメ!!』…と、ユヒから太い釘をさされていたのに、その太い釘は、ユルくんには刺さらなかったようですね😊

でも、チェギョンもユヒも、2人とも幸せなようでよかったです😊

きっと、息子サンも、『李家の血筋』をしっかり受け継いでいるんでしょうね!

2人目も、もし男の子だったら、『李家の血筋』が、さらに増えてしまいますね😊

次のお話も楽しみにしています🎵

-
2022/09/18 (Sun) 04:52

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まあむ
2022/09/18 (Sun) 05:41

おはようございます
最後まで面白い作品でした。
堅物という鎧兜で覆われていたけど、
ユル君にも熱い李家の血が流れていたようです。
それが李家の男の証明のようではありますが、
女たちには暑苦しいとも言えますよね~笑
でも、彼らはそれすら受け入れられる度量の大きい相手を
しっかり選んでる気がします。
彼女たちにすれば、手綱を取ってしまえば、
チョロいものかも┄( *´艸`)
この先も血はしっかり受け継がれるでしょうけど、
幸せならそれも最後は笑い話にできちゃうでしょう。
李家の女たちにはぜひ頑張ってもらいたいです。

tiem
2022/09/18 (Sun) 06:37

merryさん、おはようございます!
最終話の更新ありがとうございます。

やはり、気になるわよねぇ。
如何にして、ユル君がユヒちゃんをゲットしたかを。
やはり、ユル君が積極的に行動を起こした見たねぇ。
好きな女性を確保するためなら、手段を選ばずだねぇ。
宮の男性陣は、好きな人をゲットするためなら、奮闘するからねぇ。
だからと言ってあの模範生であり監視役でもあったユル君までもが制御不能に陥ったとは( ̄ー ̄)ニヤリ・
だから、ばれる前に結婚をだねぇ。
シン君の同じようなものだけど。
姉ヘミョンも、しっかり旦那様を確保だし。
もう言うこと無いわねぇ。
でも、本当に宮にも幸せが満ち溢れていますねぇ。
本当に良かったです( ´艸`)。
女性陣もさらにヒートアップしていくかもねぇ。
男性陣、うかうかしてなんていられませんよ。
お話ありがとうございましたぁ。

次回作も楽しみにしていますよ(^^)

ビオラ
2022/09/18 (Sun) 08:42

merryさま、おはようございます。最終話まで楽しませていただきました。
ユヒもユルくんの両想い勘違い攻撃とファヨンさまの勢いに負けたんですね。でも、愛情過多の李家の男に思われてユヒも幸せになれるでしょうね。
シンくんとチェギョンには男の子がいるし、これからも李家の男の血は脈々と受け継がれていくんでしょうね。
merryさま、しさま、楽しいお話をありがとうございました。

-
2022/09/18 (Sun) 10:13

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-
2022/09/18 (Sun) 16:41

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merry
merry
2022/09/18 (Sun) 18:51

To と さま

コメントありがとうございます。

ほんっとに拗らせ男子たちですよねー。www
それぞれの奥さんの器が大きいので助かってます。(≧∀≦)
でしょ!ヒョンは未来のシンユルですね。
これからも大変ですが、幸せで何よりです。www

お付き合いありがとうございました。(^ ^)

merry
merry
2022/09/18 (Sun) 18:54

To yurinさま

コメントありがとうございます。

ユルも、しっかり勘違い男でしたねえ。www
そうそう、妻を想う気持ちは本物なので、文句言いつつも幸せでしょう。
ほんっと!親見て育つサンもそうなるんでしょうねえ・・・。(≧∀≦)

お付き合いありがとうございました。(^ ^)

merry
merry
2022/09/18 (Sun) 18:58

To sai*****さま

コメントありがとうございます。

李家の血を発揮して、シン君と同じことになってましたねえ。
ユヒの太い釘もなんのその、父親と同じ速度違反!www
しっかり受け継いだようです。(≧∀≦)
これからも継承されていくんでしょうね・・・。ww

お付き合いありがとうございました。(^ ^)

merry
merry
2022/09/18 (Sun) 19:03

To m さま

コメントありがとうございます。

私も理解不能です〜〜〜〜〜〜〜〜。www
さすがソウル大学の1位と2位です。
おおおっ、シン君が新鮮だと言ってもらえて嬉しい!!(≧∀≦)
女性陣の掌の上なので上手く行くんでしょうね。www

お付き合いありがとうございました。(^ ^)

はい!お楽しみに〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
三人称で頑張ります!!p(^_^)q

merry
merry
2022/09/18 (Sun) 19:07

To まあむさま

コメントありがとうございます。

堅物ユル君にも李家の血が流れてましたねえ。www
ほんとほんと、女性陣の度量が大きいんでしょうね。
しっかり手綱を引いてるみたいです。(≧∀≦)
そ、幸せなら最後は笑い話ですよっ。

お付き合いありがとうございました。(^ ^)

merry
merry
2022/09/18 (Sun) 20:05

To tiemさま

コメントありがとうございます。

ユルもシン君みたいに押せ押せだったみたいですねえ。
勘違いも甚だしいけど、それが通ったんだからよかったですね。www
おまけにス殿下同様速度違反なんて!
皆それぞれなんだかんだ言っても幸せそうですね。(≧∀≦)

お付き合いありがとうございました。(^ ^)

merry
merry
2022/09/18 (Sun) 20:08

To ビオラさま

コメントありがとうございます。

ファヨンまでが大学まで来ちゃうなんて、ユヒもびっくりしたでしょうねえ。www
そうそう、チェギョンもですがユヒも幸せになれるでしょう。
これからも李家の血は受け継がれるんでしょうねえ・・・・・・。( ̄∇ ̄)

お付き合いありがとうございました。(^ ^)

merry
merry
2022/09/18 (Sun) 20:14

To n さま

コメントありがとうございます。

ほんと、何処かで聞いた言葉でしたねえ。www
太い釘も効果なしなんて、ユル君も李家の男でした〜〜〜・・・・・。
そ、愛は本物ですからね。
あとは手綱を上手く引くのみです!!(≧∀≦)
ヒョンも相変わらずのようです。
当然サンにも遺伝するでしょうね。www

お付き合いありがとうございました。(^ ^)

merry
merry
2022/09/18 (Sun) 20:18

To j さま

コメントありがとうございます。

ユルも李家の男でしたねえ。www
外堀を埋められファヨンまで現れて、ユヒも観念したようです。(≧∀≦)
ソウル大で1位2位ってのはすごいです〜〜〜。
ガンヒョンもへミョンもそれぞれ幸せになれそうですね。

お付き合いありがとうございました。(^ ^)

-
2022/09/19 (Mon) 07:02

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-
2022/09/19 (Mon) 16:27

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merry
merry
2022/09/19 (Mon) 19:09

To し さま

コメントありがとうございます。

ぷぷぷ、お忍びファヨンのハグは確信犯でしょうねえ。www
あ、ほんと!ソレ惚気かも!!
「五寸釘でも効果はなかった」に大笑い!(≧∀≦)
へミョンも結婚したしチェギョンも愚痴友(笑)が出来たし。
ほんと、夫を尻に敷いて君臨してる女子会がある限り宮は安泰ですね。www

お!爆笑キャラになってましたか!良かった〜〜〜〜〜〜。
「孫より皇后様LOVEのヒョンも、自分の黒歴史wwはシレッと棚上げのファヨンもクスッと笑えるキャラで、過去の所業をちょっとだけ帳消しにしたくなっちゃった‼︎」
おおおっ、嬉しいですーーー!\(^ω^)/

こちらこそありがとうございました〜〜〜。
とっても楽しく書けました!!(≧∀≦)

merry
merry
2022/09/19 (Mon) 19:14

To ふ さま

コメントありがとうございます。

丸く収まりましたね〜〜〜。ww
ほんとほんと、女性が継承を支えてきたんでしょうね。
ユルが「シン君以上にヤバヤバ李家男子」に大笑い!(≧∀≦)
実はそうでしたねえ〜〜〜〜〜〜。
ほんと笑うしかない!www

お付き合いありがとうございました。(^ ^)

お話 其の伍拾壱(完)