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伍拾壱 20



卒業前にチェギョンとアンナことが出来た。
嬉しくて興奮していて、ただただ夢中だった。

この真っ白で可愛いチェギョンは俺だけのものなのだ!


俺の部屋でだったので、多分祖母たちの耳に入っただろう。
が、何も言われないし、チェギョンが入宮してからは雲硯宮に毎夜通ったが、それでも誰にも止められなかった。
当然だ、婚礼が近いのだから。

毎日が幸せで幸せで、俺は浮かれ切っていた。


が、勿論、公務には真摯に向き合っている。
婚約して浮かれて疎かになっているなどと思われたら、チェギョンに矛先が向くかもしれないからだ。
彼女を守るためにも頑張らなければ。



「愛してるよ、チェギョン」

チェギョンと過ごせば公務の疲れなど吹き飛ぶ。
柔らかい身体は俺に力を与えてくれるのだ。





婚礼後は、避妊してとチェギョンに言われた。
留学までに妊娠なんて絶対にダメだというのだ。
俺も宮を離れてチェギョンと二人っきりで暮らしたいので同意した。
まあ、まだやっと19なのだから、子供はすぐでなくてもいいだろう。



大学に行けば相変わらずユルは煩いが、俺たちは夫婦なのだ。
堂々と手を繋いで何が悪い!





そんな時、チェギョンから思わぬことを聞いた。
ユルがパク・ユヒにプロポーズして玉砕していたらしい。

いきなりプロポーズするなんて、あいつは順序ってものを知らないのか?



揶揄っちゃダメとチェギョンに言われたが、次の朝ユルに会ったことで俺の口は勝手に喋った。

「パク・ユヒに振られたんだって?」



この時、ユルがソウル大学に編入することを聞いたのである。


「プロポーズを断られたっていうのに、それを何とも思ってないってのが李家の男というかめでたいというか」

叔母の言葉に心から同意した。
が、「李家の男」は関係ない、ユルひとりのことなのだ。



「ソウル大に行ったらシンみたいに押しまくるの?」

姉の言葉には黙っていられず、俺は口を挟んだ。

「それは出来ない。 ユヒの気持ちがあるだろう。 俺たちとは違う」

俺たちはあの頃から相思相愛だったのだ。
だがユルは一度断られている。

が、ユルは無表情に俺を見て言った。

「シンに言われたくない」

何!?

思わず気色ばんだ時、父が苦笑いする中、祖母と母と叔母、そして姉が大笑いしたのである。

「そりゃそうよね〜〜〜〜!」


・・・・・なんなんだ。







その後、ユルがソウル大に行ってしまったので、構内でどれだけチェギョンと密着していようと止める者も怒る者も居ないし、日々穏やかに過ごしていた。


ギョンは相変わらずガンヒョンを追い掛けているようだ。
一度ガンヒョンに、お前もギョンが好きなんだろ?と聞いてみたのだが、「はあ???」と顔に書いて俺を見ただけだった。

・・・・・違うのか?



ファンとミヌは今入隊している。
彼らが除隊する頃には、俺たちはイギリスから戻っているだろう。

いや、あちらで思い切りイチャイチャする予定なので、妊娠も十分有り得る。
留学期間を切り上げて帰国することになるかもしれない。


チェギョンが俺の子を産む。
それを想像するだけで嬉しくて嬉しくて興奮してしまう。
今夜も頑張ろう!!




そういえば、ユヒとのことがどうなっているのか、ユルは何も言わない。
叔母も聞いていないようで、「大人だし任せている」と言われれば俺が口を挟むことではない。
・・・・・すごーーーーーーく気になるが。






そしていよいよ夏休みになり、イギリスに行くまで後半月になった頃、ユルがユヒを伴って参内して来た。
堂々と手を繋いでいる。

今まで俺に散々怒ってたくせにと、つい苦言を呈すると、シンに言われたくないだの昔のことは忘れただのと、平気でユルは言った。
チェギョンとパク・ユヒを放って、アルツハイマーかと笑ったことでユルと言い合いになっていた時、コン内官がやって来たのだ。

「皆さまがお待ちかねでございます」


ユルが彼女を連れて来たのは、祖母たちに紹介するためなのだ。
俺たちは揉めるのをやめて、すぐに上殿に向かった。







「緊張しちゃった〜〜〜〜〜〜・・・・・」

退室してから、ユヒがチェギョンに凭れかかるように小さく呟いている。
二人でお茶するから付いて来ないでとチェギョンに言われたので、俺とユルは、中庭の東屋に向かった彼女たちを見送ってから東宮殿に足を向けた。




「で? どうやって迫ったんだ?」

父たちの前では聞けなかったので、座るなりそう聞くと、冷静な返事が返って来た。

「告白しただけだ」
「手を繋いだり抱き締めたりは?」
「それは当然だ。 お互いに想い合ってるんだから」
「だろ? 俺とチェギョンもそうだったんだよ! なのにお前は!」

煩かった!と怒ると、ユルは俺を冷たく見た。

「お前たちはまだ高校生だった。 が、僕とユヒはもう大人なんだ」

だから大学内でのイチャイチャは許されるというのである。

「俺たちには大学内でも文句を言ってたじゃないかっ」
「そうか?」
「・・・」


ユルはまたアルツハイマーを出して来た。
が、既婚者の俺は寛大なので、もうそのことには触れなかった。


「だが、俺たちのように結婚したならともかく、ユヒに矛先が向くんじゃないか?」

チェギョンのことがあったのでそう聞くと、やはりユルはあっさり答えた。

「ソウル大学にはそんな馬鹿な輩は居ない」
「・・・・・」


・・・悪かったな、入れるほどの頭がなくて。




父たちに紹介したくらいなのですぐに結婚かと思いきや、大学卒業後だそうだ。

「ユヒが、ソウル大学生が学生結婚なんてダメだ、だから嫌だと言うんだ」
「へえ」
「まあ、皇太子の婚礼のすぐ後ってわけにもいかないしね」


予算があるというのだ。
ユルがそんなことを考えるなんてと、ちょっと見直してしまった。


「4年後か。 まさか速度違反で早まるなんてことはやめろよ」
「当然だ。 学生とかではなく、皇族としてそれは絶対にダメだ」

ユルはそう言い切った。




ところが!!





1年後、イギリスでチェギョンの妊娠が判った。
無理もない、励んだからな。

「もー! シン君のせいだからね!」

膨れながらも、このお腹に赤ちゃんが居るのねと優しい笑顔で呟くチェギョンは、最高に可愛く美しい。




安定期まで待ってから留学を切り上げて帰国して、上殿に挨拶に行くと祖母たちが大喜びだった。
そして、すぐにユルの結婚だと聞かされたのである。

「何故ですか?」

大学卒業までまだ2年半もあるのに。

「速度違反じゃ」

溜息混じりの祖母の言葉を、聞き間違いかと反芻していると、姉が笑った。

「李家の男ね〜〜。 というか、亡き叔父さまの息子ということかしら」
「え?」


なんと、実はユルも、叔父たちの速度違反で生まれた息子なのだとか。


「・・・・・」

声も出ない俺に、母が苦笑いしながら教えてくれた。

「ついこの前、ユヒの妊娠が判ったの」

なので、速度違反がバレないうちに結婚させてしまおうというのだ。


ユル、お前〜〜〜〜〜〜〜〜!!!




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コメント 22

There are no comments yet.
ビオラ
2022/09/14 (Wed) 22:14

merryさま、こんばんは。お話の更新ありがとうございます。
男女交際に煩く、シンくんに偉そうに語っていたユルくんが、速度違反婚。有言不実行なユルくんは、間違いなく李家の男でしたね。

yurin
2022/09/14 (Wed) 22:57

堅物が居なくなる日

こんばんは^^v

李家の男は――
ただ〈節度がない〉ということでしょうか(笑)
あれだけ〈速度違反はダメだ!〉と言っていたユル本人がやらかしてるなんて~
〈影の風紀委員〉と言われていた頃が懐かしいv-221
婚姻後に妊娠が判ったシン君の方がまだマシだったかもしれませんねv-356

先ずは――
宮は慶事が続いて嬉しい限りですv-221
――が…
この〈李家の血筋〉が今後も大切に継承されていくのでしょうね(大笑)
お話の続き楽しみにしてますねv-352
今日はありがとうございましたv-354

まあむ
2022/09/14 (Wed) 23:10

こんばんは
おめでたいことですが、
励む方向性が違~~~~う( >Д<;)
恐ろしきは血筋なりですね。

-
2022/09/14 (Wed) 23:56

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sai*****
2022/09/15 (Thu) 00:28

こんばんは😊

まさかユルくんが、速度違反をするとは…

影の風紀委員と言われていた頃が懐かしいですね!

『李家の血筋』恐るべし❗

シンくんに、あんなに釘を刺しまくっていたのに、そのユルくんが、速度違反なんて…

しかも、ユルくんも速度違反で生まれてきてたなんて…

ユルくん、しっかりと『李家の血筋』を受け継いでいますね😊

シンくんとチェギョンは、結婚しているから、速度違反ではないものの、2年の留学期間を終了する前に、チェギョンの妊娠がわかっての帰国😊

これから賑やかになりますね😊

もし、産まれてくる赤ちゃんが、どちらも男の子だったら、やっぱり『李家の血筋』はしっかりと受け継がれることになるのでしょうね😊

お話の続きを楽しみにしています🎵

-
2022/09/15 (Thu) 05:23

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-
2022/09/15 (Thu) 06:10

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tiem
2022/09/15 (Thu) 06:52

merryさん、おはようございます!
更新ありがとうございます!

シン君,セーブしないとダメだよ。
学生時代の間は懐妊はダメだと・
そんな中、ユヒに玉砕したユル君が、何故か宮に彼女と手を繋いで。
シン君、えぇ~~~だったみたいねぇ。
ユル君、ちゃんとユヒちゃんをゲットしたんだねぇ。
宮の殿方、本当に凄いよねぇ。
することが手早いんだから。
シン君だけでなく、ユル君までもが妊娠なんだから( ̄ー ̄)ニヤリ
監視役だったのにねぇ( ´艸`)


-
2022/09/15 (Thu) 07:38

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merry
merry
2022/09/15 (Thu) 18:42

To ビオラさま

コメントありがとうございます。

まさかのユル君が速度違反でしたねえ。www
ほんと、李家の男です〜〜〜。(≧∀≦)

merry
merry
2022/09/15 (Thu) 18:44

To yurinさま

コメントありがとうございます。

ほんと!単に節度がないだけかも!
シン君の方がマシかもですね。www
ずっと継承されて行くんでしょうね〜〜〜。(≧∀≦)

merry
merry
2022/09/15 (Thu) 18:46

To まあむさま

コメントありがとうございます。

その通り、励む方向が違います〜〜。www
さすが李家の血!!(≧∀≦)

merry
merry
2022/09/15 (Thu) 18:49

To と さま

コメントありがとうございます。

そうそう、李家の男どもは同じことをしています。
ユル君、こうならないんじゃなかったっけ〜〜〜???と、言いたい!(≧∀≦)
子沢山に・・・、なるかも?www

merry
merry
2022/09/15 (Thu) 18:51

To sai*****さま

コメントありがとうございます。

ほんと、あの頃が懐かしい。(≧∀≦)
ファヨンたちも速度違反だったようです。
でもシンチェはまだマシですよね。www
男だったら・・・、またまた同じことになるんでしょうかねえ?????www

merry
merry
2022/09/15 (Thu) 18:54

To m さま

コメントありがとうございます。

なんたってソウル大学ですからねえ。
ユヒがカンカンに怒ってそうです。www
そ、シン君たちはいいですが、すぐにユルたちを結婚させないとね〜〜〜〜〜。(≧∀≦)
ほんと、女性陣が強くなるのも当然ですね。www

merry
merry
2022/09/15 (Thu) 18:55

To j さま

コメントありがとうございます。

ユル君も李家の男でしたねえ。www
どちらにも孫が出来て、皇太后さまは大喜びですね。(≧∀≦)

merry
merry
2022/09/15 (Thu) 18:58

To tiemさま

コメントありがとうございます。

ほんっとすることが早い!(≧∀≦)
結婚してるシン君たちはまだいいけど、ユル君が速度違反をやらかすとは。
散々シン君に怒ってたのにねえ。www

merry
merry
2022/09/15 (Thu) 19:01

To n さま

コメントありがとうございます。

「口程にもない」に大笑い!!(≧∀≦)
シンチェはともかく、ユル君はユヒに散々怒られてたと思いますよ〜〜〜。
多分それでも反省してないかもですが。www
はい、この先も受け継がれていきそうですね〜〜〜〜〜。

-
2022/09/15 (Thu) 21:25

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merry
merry
2022/09/16 (Fri) 07:21

To ふ さま

コメントありがとうございます。

「禁止事項はあってないようなもの」に笑った!(≧∀≦)
こんな風に継承されてきたんでしょう。www
おばあさまは大喜びでしょうねえ。ww

-
2022/09/17 (Sat) 00:01

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merry
merry
2022/09/17 (Sat) 06:37

To し さま

コメントありがとうございます。

「「皇族としてそれは絶対にダメだ」という言葉は、そこそこ本音だったと思うけど、李家の血の誘惑に抗う根性は無かったようで(*`艸´)」
ここ大笑い!!(≧∀≦)
根性はなかったようですねえ。www
そうそう、せめて二人目は卒業後にしようね、ユル君。( ̄∇ ̄)
はははっ、ほんと屁理屈になってます〜〜〜。www
今夜、いよいよ最終話です〜〜〜。

お話 其の伍拾壱(完)