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参拾玖 16



ユル君と一緒に光化門を潜ったのだが、既に連絡が入っていたのか1人のお姉さんが迎えに来てくれていた。
チョン女官さんというのだそうだ。

「皇太后さまがお待ちです。 大妃殿でお会いするとのことですので、ご案内いたします」

てびでん??って何???

そう思ったのが顔に現れたのか、ユル君がそっと教えてくれた。

「皇太后さまの住まいなんだ」
「ああっ、大妃殿ね! 時代劇で聞いたことあるわ!」

ついそう言ってしまい、お姉さんが振り返ったことで、はっとして慌てて口を押さえた。

ユル君は笑っていたが、近くに居た衛兵さんのような人までがこちらを見ていて、私は穴があったら入りたいくらいだった。





お姉さんに付いて、いくつもの回廊を曲がり建物を迂回して、やっと大きな建物の中に入った。
此処が、皇太后さまがいらっしゃるという大妃殿だそうだ。



奥へ奥へと足を進めて、義誠君さまとシン・チェギョンさまでございます、という部屋の前に居た別のお姉さんの言葉で、私たちはやっと1つの部屋の中に入った。





広い部屋の奥の中央付近に3人が座っていた。
オヨモリ、だったと思うが、あの頭の方が多分皇太后さまだろう。


と、それは判ったのだが、ああいう髪型をこんなに近くでそれも本物を見たのは初めてなので、ついじーっとそれを見つめてしまい、隣で頭を下げたユル君に肘を突付かれて、やっと私も頭を下げた。

そのせいで急に緊張してしまった。




「皇太后さま、皇女さま、皇太子殿下。 ご紹介いたします、私の友人のシン・チェギョンです」

そのユル君の言葉で、やっと皇女さまも殿下も座っていることに気付いた。

「皇太后さまにお礼を申し上げたいというので、本日一緒に参内いたしました」


家族なのに堅苦しい挨拶をしたユル君に、私は更に緊張してしまい、焦って挨拶しようとしたことで声が上擦った。

「は、初めまして! シン・チェギョンです!」

ペコンと頭を下げて、その体勢のまま私はお礼を口にした。

「こ、この度は私たち、・・・わ、私どもに家をくださり、ありがとうございました!」



つっかえつっかえの自分の言葉が恥ずかしくて顔も上げられずにいると、おっとりした声が聞こえて来た。

「礼など良いのじゃ。 それよりチェギョン嬢、こちらへ」


は!?
いえいえ、もう帰ります!!


「い、いいえ、お礼を言いた、も、申し上げたいだけでし、だ、だけでございましたので、わ、私はこれにて!」

隣にユル君が居ることも忘れて、私はそのまま後ずさって部屋を出た。



チェギョンと私を呼ぶユルくんの声は聞こえたが、とてもあの場に居られない。
息が出来ないくらい緊張していたのだから。





部屋を出たところに居た女官さんに、一番近い門から外に出して欲しいと頼んでいると、皇女さまが出て来た。

「私が案内してあげる」






皇太后さまのような頭ではなく普段着の皇女さまといえど、変にドキドキしながらそろそろと皇女さまに付いて歩いていると、皇女さまが話しかけて来た。

「チェギョンって呼んでもいいかしら?」

一気に緊張した。

「あ、はい、勿論、でございます」
「じゃあチェギョン、単刀直入に聞くわね。 ユルが好き? 男としてよ」


え???
思いもしないことを言われて、一瞬どう答えていいのか判らなかった。
が、とにかく正直に答えようと思う。


「・・・男としてと言うなら、あ、お、仰るなら・・」

丁寧に言おうとして舌を噛みそうになった私に気付いたらしい皇女さまが、普通に話してと言ってくれた。

「・・・ありがとうございます」

そう言ってもらえたからというわけではないが、いい人だな〜と思った。




「それでユルのことは?」
「ああ、あの・・・。 男としてならノーです。 いい人ですけど私にとってはただの友人です」


そう答えながらも、ユル君のことを聞かれた理由が判った気がした。
殿下の許婚だった私がユル君と一緒に此処に来たからだ。


私は慌てて言い訳をした。

「あの、今日ユ、義誠君さまに連れて来てもらったのは、皇太后さまにお礼をと思ったからなんです。 それだけです!」

焦ってそう言うと、付き合ってるわけじゃないのねと皇女さまは言った。
当然だ。



ユル君に初めて会ったのは3月だったとか、先日カミングアウトされるまで皇族だったことも知らなかったということも伝えた。
皇太后さまが家を買ってくださったことも知ってたと言うと、皇女さまは、それおばあさまに聞いたと苦笑いしていた。


「ユルがあなたの友人だと知ったことで、元許婚だったことやそのことも話したらしいわ」
「ああ、そうなんですか」

ユル君が言っていたことは本当だったようだ。


「じゃあユルと結婚なんて気は?」
「え!? まさか! 私はただの庶民ですよ。 それに借金塗れだったんです」

慌ててぶんぶん首を振ると、そんなこと言わないの、と皇女さまは言った。




次は殿下のことを聞かれた。

「ね、シンと同じ高校だったんでしょ? シンのことは知ってた?」

当然だろう。
女子に人気があったことを言うと、あなたも?と聞かれてしまった。

「私の友達は夢中でしたが、私はそれどころじゃなくて。 それに殿下には恋人が居たし」
「え!? そ、それってヒョリンのこと?」
「はい」
「・・・知ってたのね」

それも当然だ。

「皆知ってました」
「・・・そうね」




その時門が見えて来て、私は皇女さまにお礼を言った。

「ありがとうございました、皇女さま。 もうお会いすることもないと思います。 皆さまのご健勝をお祈りしています」

皇女さまは、にっこり笑って手を振ってくれた。








夜、ユル君から電話が来た。

『ヌナに送ってもらったって? 何か話したの?』

それが聞きたくて電話して来たのかと思ったが、私は本当のことを言った。

「ユル君のことよ。 後は高校の話。 ほら、私殿下と同じ高校だったから。 それより先に帰ってごめんなさい、ユル君。 連れて行ってくれたおかげで皇太后さまにお礼を言えたわ。 ありがとう」

電話を終わりにしようと、そこまで一気に喋った。

『いや、いいんだ』
「じゃあ、お休みなさい」
『あ、ああ、お休み』




切れた携帯を見つめながら、ユル君とは距離を置こうと思った。
皇女さまに言った通り、本当にただの友人だが、私が元許婚だったとお互い知ったことで、もうこれ以上の接点は持たないほうがいい。








次の日、ユル君が休みだったせいか、ヘナが唐突に私に聞いて来た。

「チェギョン、あなた皇太子殿下の許婚だったの?」
「ブッ!」

お茶を吹きそうになってしまい、ゲホゲホ咳き込んでいる私を見て、ほんとなんだ〜、とヘナは呑気そうに言った。



従兄弟のカン・イン君に聞いたらしい。
なんで彼がそんなことを知っているのかと思ったら、殿下に聞いたそうだ。

皇太后さまもあっさりユル君に話したらしいし、お喋りなのね、皇族って。





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26 Comments

hidedeeichan

こんばんは😊

皇太后さま達の前で一生懸命丁寧な言葉を使おうとしてカミカミのチェギョンが可愛い!そりゃ~緊張しますよね😄
ヘミョンにユル君との事を聞かれてきっぱりと否定して良かった♪
そしてユル君とは距離をおこうと思っているなんてユル君には想定外だったかな?😁
しかしシン君とは元許嫁の間柄といってもヒョリンとの事があったからシン君の立ち位置はマイナスですよね~
これからどうなるのか楽しみです😚


  • 2019/12/11 (Wed) 22:28
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yurin

ユル君は思惑が大ハズレ?

こんばんは^^v

緊張しまくっていたチェギョンでしたねv-222
皇族の方々が“勢ぞろい”では仕方ないかな(笑)
お礼が言えたと、そうそうに帰ろうとしましたが、ヘミョンさんにうまい具合に掴まりましたねぇ~v-221
いろいろ当たり障りのないような(シン君側には大有りかな(笑))、当たり障りなく答えるチェギョンでしたが…
どうしてこの期に及んでチェギョンがシン君の許嫁だと話すのかv-236
お話の続きが楽しみですv-352
今日はありがとうございましたv-354

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  • 2019/12/11 (Wed) 23:19
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  • 2019/12/11 (Wed) 23:38
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sai*****

こんばんは😊

皇太后さまにお礼が言えてよかったですね😊

慣れないながらも、一生懸命丁寧な言葉を使って話そうとするチェギョンがかわいいですね✨

ヘミョンにユルくんとの事を聞かれてきっぱりと否定していたし、これからは、ユルくんと距離をおこうと思っているようで、本当によかったぁ😊

チェギョンにとっては、シンくんの印象はよくないけれど、これから、シンくんとチェギョンがどうなっていくのか、とっても楽しみです🎵

  • 2019/12/12 (Thu) 01:18
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マミリン

おはようございます🙋

やっとと言うかとうとうと言うか、ユル君と一緒に参内したはいいけど。チェギョンは緊張MAXでしたね(笑)
おかげでお礼を述べただけで即退散💦
追って来たヘミョンさまにユル君との事を尋ねられ、これも即否定。ホッとしましたね。
それにシン君には「恋人がいた」と正直に答えちゃったし。
チェギョンはこれで"宮"との縁は切れたと思ったでしょうね。
ユル君とは距離を置こうと決めたし、勿論シン君との許嫁の件はとっくに終わってると思ってるし……。

さてさてどうやってシンチェの世界になって行くのか。楽しみで〜〜す。

更新ありがとうございました。
続き楽しみにしています。

ビオラ

merryさま、おはようございます。お話の更新ありがとうございます。
緊張のあまりカミカミになりながら皇太后様にお礼を言うチェギョンが可愛いですね。ユルとのことやシンくんの事を聞きたがる宮にユルと距離を開けようと決めたチェギョン。
それにしても皇室の皆さん、お喋りですね。

  • 2019/12/12 (Thu) 05:42
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tiem

merryさん、おはようございます!
更新ありがとうございます。

ユル君と宮に参内。
チョン女官と共に大妃殿へ。
もうその段階で緊張度がMAX.
更にそこに、お三方がお揃い。
お礼の挨拶でも、言葉がスムーズには。
お礼だけ述べて即、退散。
残されたユル君は唖然でしょうねぇ(^^)
そのチェギョンを皇女であるヘミョンが追いかけ、ユル君との事を聞かれ、友人だということを。
好意自体無いと言うことを。
さらにチェギョンはユル君とは距離を置くと決めたようですねぇ。
これって、シン君にとっては良い事なんだけど。
でも、ヒョリンの事は知っていたからねぇ(><)
婚約云々はなくなったけど。
でもこの先が、シン君にとっては大変かなぁ??

  • 2019/12/12 (Thu) 06:33
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  • 2019/12/12 (Thu) 11:40
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teraco

こんにちは~

皇太后さまにお礼を言えたことで、チェギョンの中では一層の線引きをしちゃいましたね。
ヘミョンの質問さえ、チェギョンにとっては皇室との縁を切るには十分で。
ユルはどんな思惑でチェギョンに近づいたかわからないけど
あっさりきっぱりと振られちゃってるし(笑)
おしゃべりな皇族、今までになく珍しい?(笑)

更新ありがとうございました。

  • 2019/12/12 (Thu) 13:47
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  • 2019/12/12 (Thu) 19:33
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Miko

こんばんは!

チェギョンはユル君に不信感が出てきてるみたいだから、この先は慎重な対応になるだろうな!
でも、ユル君はチェギョンにプッシュしそう。シン君、どうする?

  • 2019/12/12 (Thu) 19:53
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merry

merry

To hidedeeichanさま

コメントありがとうございます。

そりゃあ緊張しますよねー。(笑)
ユルが皇族だと知ったことで、距離を置こうとしています。
まあ、それが普通かと。(>ω<)
そ、シン君の立ち位置はマイナスですねえ。(笑)

  • 2019/12/12 (Thu) 21:11
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merry

merry

To yurinさま

コメントありがとうございます。

緊張するなというほうが無理ですよねー。(笑)
ヘミョンに掴まって、それでもユル君とのことを否定出来てよかったです。
最後のそれねえ・・・、シン君のうっかりにしちゃおうかと。(笑)

  • 2019/12/12 (Thu) 21:14
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merry

merry

To ふ さま

コメントありがとうございます。

「見たか!シン君!」に笑っちゃった!(≧▽≦)
そうそう、アイツと大違いですよねー。(笑)

  • 2019/12/12 (Thu) 21:16
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merry

merry

To n さま

コメントありがとうございます。

緊張しまくってましたねえ。(笑)
ヘミョンにきちんと否定出来たのはよかったです。
そうそう、ユル君にはもうかかわらないほうがいいですよねー。( ̄ー ̄)

  • 2019/12/12 (Thu) 21:21
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merry

merry

To sai*****さま

コメントありがとうございます。

そうそう、精一杯なのは伝わると思いますよねー。
ユル君とのことをきっぱり否定出来たことはほんとよかった!(笑)
シン君とチェギョンは・・・、とにかく話してみないとねえ・・・。^^;

  • 2019/12/12 (Thu) 21:26
  • REPLY
merry

merry

To マミリンさま

コメントありがとうございます。

そ、お礼を述べただけで即退散!(笑)
ヘミョンが追いかけて来てくれてよかったですよ。
あのまま帰ってたらユル君に何言われてるか。^^;
まあ、派手に嘘も吐けないでしょうが。
どうやってシンチェの世界に持って行きましょうかねえ?(笑)

  • 2019/12/12 (Thu) 21:29
  • REPLY
merry

merry

To ビオラさま

コメントありがとうございます。

緊張しながらもお礼を言おうとしてるのは可愛いですよね〜。
ユル君と距離を置こうと決めたようでよかったです。(笑)
おばあさまは孫のユルだから、でしょうが、シン君はねえ、「ついうっかり」にしようかなあと思ってるんですが。(笑)

  • 2019/12/12 (Thu) 21:33
  • REPLY
merry

merry

To tiemさま

コメントありがとうございます。

ユル君は、まさかチェギョンがすぐに帰るとは思ってなかったでしょうねえ。(笑)
ヘミョンに掴まりましたが、否定出来たので却ってよかったですよね。
シン君も・・・、ヒョリンとのことはなくなったけど、今からでもチェギョンをと思ってるわけではないし、これからどうなるんでしょうねえ?^^;

  • 2019/12/12 (Thu) 21:38
  • REPLY
merry

merry

To j さま

コメントありがとうございます。

チェギョンは皇族の方々に挨拶に行ったわけではなく、皇太后さまにお礼を言いたいだけでしたからねえ。
言い終わったらさっさと帰りたい。(笑)
そうなんです、ヘミョンに聞かれたことで余計にきっぱり否定して距離を置くことに。
ヘミョンはいい仕事したかも。(≧▽≦)
チェギョンにとっては、宮はもう関係ないところですよねー。

  • 2019/12/12 (Thu) 21:43
  • REPLY
merry

merry

To teracoさま

コメントありがとうございます。

その通り!
チェギョンにとって、もう宮との縁なんて無いです。(笑)
ぷぷぷ、お喋りだと思われるってのが珍しいですよねー。
シン君は「ついうっかり」にしようかなあと思っています。^^;

  • 2019/12/12 (Thu) 21:45
  • REPLY
merry

merry

To m さま

コメントありがとうございます。

私も一生懸命さは伝わったと思います〜。
シン君にもね。(笑)
そ、ヘミョンに否定出来たこともよかった!
シン君はねえ・・・、今のとこユル君よりも論外ですねえ。^^;

  • 2019/12/12 (Thu) 21:48
  • REPLY
merry

merry

To Mikoさま

コメントありがとうございます。

うん、逃げ腰になるでしょうねえ。
でもユルは押して来る・・・、んだろうなあ。(笑)

  • 2019/12/12 (Thu) 21:50
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  • 2019/12/13 (Fri) 00:30
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merry

merry

To し さま

コメントありがとうございます。

そうそう、緊張するなというほうが無理です。
抜かりない(笑)ヘミョンに掴まって却ってよかったですよね、きちんと否定出来たから。
そう!ユル君としては誤算だったと思います。
アピールするつもり満々だったと思うので。(笑)
「外見がクリーンヒット」に笑った!(≧▽≦)
なんか皆お喋りですね・・・。^^;

  • 2019/12/13 (Fri) 07:51
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