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名無し君は見た!


俺たちの高校には超有名人が2人居る。
1人は言わずと知れた我が国の皇太子殿下、イ・シン。
そしてもう1人は、モデルのシン・チェギョンだ。

モデルと言っても読者モデルなのだが、彼女が載ってる号はすぐに売り切れるほどの人気なのだ。

彼女は中2から読者モデルをしているので、高校を卒業したら本格的にモデルデビューするのだと思っているのは、俺だけではないはずだ。




ある日、シン・チェギョンの噂が出た。
彼女に秘密の恋人が居るというのだ。

「この学校の生徒だって!」

何処からそんなことが判ったのかといえば、モデル仕事の撮影現場に、彼女を車で迎えに来た男が居たらしい。
タメ口だったので、ならば同級生だろうということになったようだ。


「車の免許を持ってるんだから3年生に決まってる!」



校内はすっかり、<シン・チェギョンの恋人を探せ!>というミッションをクリアしようとする者ばかりになっていて、そんな男たちを見ながら冷静に言ったのは俺の幼馴染だった。

「チェギョンの恋人を探してどうするつもりだろ」

・・・どうこうしようとは思っていないと思うが。

「ねえねえ、意外と皇子だったら面白いのにね」
「はあ?」

そうしたら他の男子は指咥えて見てるだけになって、それが面白いというのだ。

「・・・お前性格悪いぞ」
「そお?」


この時は相手が殿下だなんてまさか!と思っていたのだが、実はそれは当たっていたのである。





その年の夏、シン・チェギョンは突然読者モデルを辞めた。
紙面には、受験も控えているし私生活も色々忙しくなったので、というのが理由として書かれていた。

学校では、なんでなんでと詰め寄る生徒も居て、シン・チェギョンの友人たちが彼女を庇っていた。

「チェギョンは芸能人じゃないのよ! プライバシーに踏み込まない!」

眼鏡女子の尤もな言葉に、皆すごすご引き下がったようだった。





そして秋、なんと彼女は殿下と結婚したのである。


テレビでは、読者モデルで1番の人気を誇ったチェギョン嬢が我が国の皇太子妃になった!!と連日報道された。

女子たちは妃殿下がチェギョンなら無理ないわと納得していたが、男子は皆がっかりしていた。
まあ、俺もほんの少し・・・。



そしてその男子たちの羨望の的になっている殿下はというと、日々シン・チェギョンを追い回している。



彼女は美術科なのだが、クラスでの写生大会が外で行われる時は、護衛ではなく殿下自らが車を運転して送り迎えをするそうだ。

「やっぱモデルしてた時に迎えに来たのは殿下だったんだ!」

と、皆大騒ぎだ。



シン・チェギョンの体育の授業では、彼女が転んだりしたら殿下が飛んで来るらしい。

何処から見てたんだ・・・。
偶に授業をサボる時があるが、その時が彼女の体育の時間なのかもしれない。




モデルの仕事を辞めるまでは絶対にバレないようにしてと言われていたようで、ずっとこそこそしていたと、殿下は結婚後の会見でニタニタしながら言っていた。

雑誌のシン・チェギョンを可愛いと思っていて、高校に入学して実物を見て、一目惚れしたらしい。

「最初は皇太子権限を活用して彼女をこっそり呼び出しました」


なんと、俺たち一般生徒が入れないA棟最上階の奥に殿下専用室があるようで、そこに彼女を呼んで告白し、ずっと逢瀬を重ねて気持ちを重ねて、ついに結婚に至ったということだった。

お互い目立つので普通にソウルの街をデートなど出来なかったが、皇室の御用邸とかには行ったりしたらしい。


「専用室で会っていたのが1番多かったですね。 今は堂々と一緒に居られますが」

というか、殿下がシン・チェギョンを追い回しているのだが。




今になって気付いたのだが、俺が初めて殿下と同じクラスになった2年の時から、昼休みになった途端殿下が教室を出る時があったが、それは3年になってからも度々あった。

その時に専用室でシン・チェギョンに会っていたのだろう。

そう言えば教室に戻って来た時、ネクタイが緩んでいる時もあったが、もしかしてあの頃既に彼女と・・・。




そして今日、教室に戻って来た殿下のネクタイはやはり少し緩んでいた。
卒業する頃には妃殿下ご懐妊のニュースが出るかもしれない。






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