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参拾伍 12


ミン家が介入して来たことで益々事態が大きく複雑になり、一旦ヒョリンの狂言自殺は伏せることになった。
ミン家当主がテレビカメラに向かって声を上げたため、ミン家への配慮だったのだ。

が。

『ヒョリンはウチの娘になりました。 殿下のお妃として遜色ないはずです。 ヒョリンがこんなことになったのは殿下の責任です。 どうかヒョリンを宮に迎えていただきたい!』

ミン家当主がそんなことまで口にしたことで、俺の会見が受け入れられていたにも拘らず、再びヒョリンを宮へ、と言う者が多数出て来たのである。




「皆自分のことじゃないからって勝手よねっ。 皇太子に妻を押し付けるってどういう了見なんだか!」

姉上が俺の部屋でぷりぷり怒っている。
チェギョンに謝って仲良くなれたらしく、今ではすっかり俺たちの味方だ。




恵政宮さまとユルのことは、判明した事実を踏まえておばあさまが話を付けてしまった。


アメリカで内官と翊衛司に接触されたチェ局長は、恵政宮さまへの疑惑が固まったことを聞かされたことで、恵政宮さまに頼まれてタイの新聞社にヒョリンのことをリークしたとあっさり白状したのである。

恵政宮さまに、『これ以上してもらうことはないから国を出ろ』と言われて一応韓国を出たものの、協力させるだけさせて切るのかと恨んでいて、バレたのならとベラベラ喋ったということだ。


その局長の話を突き付けられたことと、ユルとヒョリンの防犯映像があることで、ユルが全てを認めたらしい。
俺を嵌めたことをだ。

そして、おばあさまに昔のことを持ち出されたことで、何も知らなかったユルが恵政宮さまを責め、とうとうおばあさまの前で親子喧嘩に発展したらしい。


お互いに責め合っている二人に、おばあさまが一喝したそうだ。

『いい加減にせぬか! そなたたちが太子を追い落とそうとしたのは事実であろう!』


そのことで二人は黙り込んでしまい、ス殿下の追尊後復位などせずに皇籍から外すことになった。
その後再び海外に出ることになるが、今度は宮からの援助は無い。




「チェギョンの家族がイギリスに行くから、ユルたちはマカオだって」

姉上が、菓子を摘みながら真剣そうな表情でそう言った。

俺とチェギョンの離婚はナシになったのだが、義父上義母上の仕事、それにチェジュンの学校の手続きも済んでるし、元のようにソウルでの生活に戻ることでご家族が槍玉に挙げられるのを防ぐためにも、3人は予定通りもうすぐイギリスに行く。

なのでユルたちは、様子がすぐに判るように比較的近くのマカオへ、ということらしい。




チェギョンも東宮殿に戻り、俺はチェギョンと離れ離れにならずに済んでほっとしていた。

『ミン・ヒョリンとの再婚云々と言われている時に離婚などすれば、迎えるためかと思われて余計に騒ぎになる』

反省した父上のその言葉は王族会にも伝えられて、皆一丸となって皇室の信頼回復に努めようと、チェギョンも交えて話し合ったのだ。





ところが。
それでなくてもヒョリンが退院するだけで騒ぎになっているというのに、

<皇太子ご夫妻が離婚!!!>

というニュースが大々的に報じられたのである。


タイのスキャンダルが出た時に決定されたことで、王族会も承認済みでチェギョンたちがイギリスに行くことまで全てが、ニュースとして国中を駆け巡ったのだ。




「誰がこんなことを!? 離婚は白紙に戻ったのに!」
「なんということ・・・」


王族の誰かに決まっているが、それが誰かを確定しようにも時間がなく、一度は離婚が決定されていたことも事実なのだ。

そしてそれが出てしまったことで、離婚の次は再婚だと騒ぐ者が一層多くなり、結局離婚は真実のようになってしまったのである。




インたちも驚いていた。
彼らには話していなかったので、誰がこんな嘘をと怒っていて、出まかせだとネットで反論する!と言ってくれたが、その話が出ていたことは事実だと伝えた。

『え・・・、じゃあほんとに離婚話になってたのか?』


インは、タイでのことがあったからだ、自分のせいだと泣いて謝ってくれたが、それは違う。
俺のせいなのだ、全ては俺がヒョリンを切れなかったからだ。





「太子、騒動が大きくなり過ぎた。 妃宮を逃すほうがいいと思わぬか?」

離婚のニュースが出て二日後、父上が済まなそうに俺に言った。
おばあさまと母上姉上の4人で話し合ったらしく、最後に俺の意見をと思ったそうだ。

確かに、父上の言う通り事が大きくなり過ぎた。
マスコミにリークした王族のこともあるし、ユルたちのことが終わっても何かしら起こり得る可能性は大きい。

だから、これ以上チェギョンを巻き込まないためにも、一旦逃がすという選択はアリかもしれない。
だが・・・。

「ひとつ約束していただきたいことがあります」
「何だ?」
「何もかもが落ち着いて国民も再び皇室に信頼を寄せてくれるようになったら、チェギョンを宮に戻します。 良いですよね」

俺とチェギョンが愛し合うようになったことを知っている父上たちは、揃って賛成してくれた。






追尊が終わるまではユルたちの企ても伏せるので、先に離婚発表をしてチェギョンたちをイギリスに行かせることになった。

チェギョンたちを避難させるのが目的だということは、きちんとチェギョンに伝えた。

「ごめん、お前を振り回してばかりいる。 こちらが落ち着いたら必ず迎えに行くから」
「うん、シン君」

柔らかい身体を抱き寄せてその温もりを感じながら、俺は謝り続けた。
糠喜びさせたことを、ただ謝るしかなかったのだ。





そして父上が会見を開いた。

『先日思いもしないニュースが出てしまいましたが、これらの騒動は皇太子の結婚を急いだ私たちの責任です。 若い二人を振り回してしまいました。 皇太子は会見で自分を責めていましたが、責められるべきは私のほうです』

父上は、全て自分たち大人のせいだと言ってくれた。

『皇太子のスキャンダルは事実ですが、若い二人を結婚させた皇室にも責任があります。 結果、皇太子夫妻は想いを寄せ合いながらも離婚の手続きを取ることになりました。 若いのでこれから別々に頑張って、再び道が交わることを願っています。 今回のことは思慮が足りなかった私たちのせいです。 どうか私たちと若い二人をお許し下さい』


この言葉とともに父上が謝罪したのだが、“再び道が交わることを願う”と言ったにも拘らず、俺たちの離婚はヒョリン母子への賠償だと国民に認識されてしまったのである。

そして離婚が発表されたことで、いよいよヒョリン嬢と再婚か!?と余計に騒がれ始めたのだ。





が、ヒョリンのことは、思いがけないことに父上の会見の二日後に収束を迎えた。
ミン家がヒョリンとの養子縁組を解消したのである。





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