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参拾弐 10


皇太后さまとの面接のあと、結局私もジョンファも候補を外されることなく、訓育が始まった。
経書をするそうだ。
ヒョリンは苦戦していて、いよいよあいつも終わりねとジョンファが笑っていた。


ところが。


「え!! 大学生のオンニたちが外れた!?」

異性関係がバレたのだそうだ。
王族といえど大学生だもんね、と言った母の言葉に、私はおかしな納得をしていた。

「これであなたたち高校生3人になったわね」
「多分ヒョリンで決まりよ」
「でも彼女、不可が付いたみたいなんでしょ? それに決まるなら一人じゃないわ」
「ああ・・・、うん、まあね」

だからって私とジョンファにはならないと思う。
だって皇太后さまに言ったもの。



ジョンファはなんでなんでを繰り返しているが、それでもまだ、断ってもらえないなら断るだけ!と力んでいた。



その後、父が皇太后さまに呼ばれて参内した。
ファンのお父さまとジョンファのお父さまも一緒だったらしく、何のお話だったのかと私が聞く前に、父は言った。

「殿下とお前のことを聞かれた」
「は?? 殿下と??」

何故?
ユル君だというならまだ判るが。

「昔殿下に、チェギョンは好きじゃないとか迷惑だとか言われたそうだな」
「え・・・。 な、なんで・・・」


なんとファン君のお父さまが知っていたらしい。
男の子って何でも喋るの!?と思ったくらいだ。

ジョンファのお父さまもびっくりしていたそうだ。


「リュ王族が詫びてくれていた。 殿下とチェギョンが離れたのは息子にも責任があるのだからと」
「それは違います!」
「ああ、私も言ったよ。 子供の頃のことだから気にしていないと。 実際そうだと思う」

その通りだ。

だがあの時ヒョリンは、言い方は悪いがイン君を使って、わざとシン君に聞いたらしいのだ。
お前チェギョンが好きなんだろ、と。

「小学生の男の子だ。 囃し立てられて、つい違うと言ってしまったんだろう」

それはシン君も言っていた。
揶揄われて心にもないことを口走ったと。


ヒョリンが言わせたというのは何処から判ったのかというと、それもファン君だそうだ。
ヒョリンとイン君の話を聞いてしまったらしい。
私には言えなかったということだろう。


そのことで、皇太后さまが怒ったようだ。
勿論ファン君にではない、シン君とヒョリンにだ。


「それでな、チェギョン。 延期になった」
「え??」

シン君たち、つまり皇子さまたちの結婚は、学生のうちは止めるそうだ。



高2で揀擇など早すぎた、皇室だからと早くから結婚させようなど自分が間違っていた、一生のことなのにこんな風に軽々しく決めようとして結局孫たちの未熟さを見ただけだった、済まなんだと、皇太后さまは謝罪してくださったらしい。

揀擇が始まる前からと始まってからの、シン君たちの様子に少々がっかりなさっていたらしく、ファン君のお父さまに聞いたことで決心されたようだ。


「すごく悄然と項垂れていらしてなあ、私のほうが申し訳なかった」
「・・・」

私とジョンファが揃ってお断りの意を伝えたこともあるのだろうかと、私も申し訳なく思った。





だがとにかく揀擇は終わり、私は、いや私とジョンファは自由になった。

「良かったーーー!!」

ひと目を気にせず喜んでいるのはジョンファだけだ。
ヒョリンは、結局無しになったので再びシン君の前に現れ・・・るどころか、学校を辞めたそうだ。

「彼女、お父さんに叱られたんだって。 嘘吐きだって」
「嘘吐き?」
「家族にも、殿下と親密なんだって言ってたみたいよ。 そのせいで留学させられたらしいわ」
「・・・友人枠の女の子はヒョリンだけだったから、思い込んでたんでしょうね」
「だから相当な馬鹿なのよっ」

ジョンファは清々したと笑っている。
揀擇の時のヒョリンを見ているので、あんな女が皇室に入るなんて許されない!と憤慨していたのだ。






「残念だよ、チェギョン」
「私はこれで良かったと思うわ、ユル君。 私たちまだ17よ。 これからもっともっと色んな人と出会って色んな経験をするべきだわ」
「・・・そうだね」

ユル君はそれ以上言うことなく、にっこり微笑んでいた。
皇太后さまのお言葉だから揀擇に同意したものの、ユル君だってまだ早いと思っていたはずなのだ。




シン君からも電話が来た。

『残念だ』

何が残念なのよっ。
ユル君に言ったのと同じことを言うと、シン君も、そうだなと答えていた。

『俺とユルは、高校卒業するまで、あちこちボランティアに行くことになったんだ』
「あ、そうなの? 皇子二人が率先してボランティアに励んでくれたら同じように、する人も増えると思うわ。 良いことよ」
『そうかな? じゃあお前も来るか?』
「行くなら皇子さまたちとは別のところね」
『なんで!』
「若い人の手伝いは来て欲しいところが多いのっ。 何人もが同じとこに行くことないのよっ」
『・・・そうなのか?』

そうなの!!





妃騒動が収まったことは、当然だが王族たちは皆知っていて、学校の空気が変わった気がした。
揀擇が始まった頃は、表面には出さないが、皆何となく、私とジョンファとヒョリンの様子を窺っていた感があったのだ。

「これで普通の学生生活を送れるわ」

そう言って喜んだジョンファも、妙な空気を感じていたらしい。




そんな時、妃候補になっていてそれが無くなったのを知っていたわけでもないだろうに、そのタイミングでイン君が私に告白して来た。

「俺チェギョンが好きだ。 俺と付き合ってみないか?」
「・・・」

イン君のことは嫌いではないが、揀擇が終わってすぐ他の子と付き合うなど考えられないし、それは出来ない。
何より変な誤解をされかねない。


なんて言って断ろうかと考えているのが判ったのか、イン君はすぐに引き下がった。

「・・・判った、ごめん。 俺はチェギョンにとって友人の域を出ないってことだな。 すぐに諦めるのは無理だけど、せめて友だちではいてくれるよな」
「あ、うん。 友だちよ」
「ありがとう、チェギョン」

イン君は微笑んでくれて、私もほっとした。



だが、それをユル君に見られていたことには気付かなかった。





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