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弐拾 33(完)


チェギョンに張り付いている護衛の報告では、ホテルを出たチェギョンはまだ外をブラブラ歩いているそうだ。
ならばと俺は、全ての土産物を手にシン家に向かった。
ご両親に挨拶をするためだ。



驚くご家族を前に、俺は自分の気持ちを伝え、ちゃんとご両親から結婚の承諾を得た。
夕食を一緒にと言ってもらって、義弟が嬉々として土産物を開けている時、チェギョンが帰って来たとの報告を受けた俺は、玄関を出てチェギョンを待っていた。

プロポーズもした、キスもしたとご両親に言ったのに、肝心の指輪は俺が持ったままなのだ。
先にチェギョンの指にはめておかなくてはならない。



俺が居たことに驚いているチェギョンには構わず、その細い手の甲にキスをして指輪をはめた。
まるで結婚式のようで俺の気分は高揚し、唇にもキスしたかったのだが、ここでチェギョンを怒らせるのはマズいと我慢し、一緒に家に入った。


夕食後、チェギョンの部屋に入ってもう一度唇へのキスをと目論んでいたのに、チェギョンに押し切られて、俺はその夜は仕方なくホテルに帰ったのだ。




その夜のコン内官からの電話で宮のコメントに対する国民の反応が上々だと聞いた俺は、遠慮など必要ないとばかりに、次の日、チェギョンの大学に向かった。


【 シン・チェギョンは私イ・シンの妻になる女性です。 妃教育のため私と一緒に帰国することになりました。 故に今日かぎりで退学いたします 】

このひとことでチェギョンの退学が決定し、俺は異常にテンションの高いチェギョンの友人にすごく後押ししてもらって、呆れ果てたようなチェギョンとともに大学をあとにした。




チェギョンが友人たちとお別れする時間が必要だろうと 帰国は来週に決めたが、チェギョンと離れていたくない俺は、毎日チェギョンの家に行き観光案内と称してチェギョンを連れ出した。
といっても、帰国準備の邪魔をするつもりはないのでほんの数時間だ。
近所を歩くだけだが、俺たちにとっては初めてのデートだった。

尤もチェギョンはそんな認識はないようで、なんでこんなに急にとかそんなことばかり言っていた。
あまりにそういうことを言うので、チェギョンの身体をぐいっと引き寄せ、ストレートに俺の気持ちを口にする。

「俺がお前と一分一秒でも離れていたくないんだ。 1年半も離れ離れだったんだぞ? 一日でも早くお前を俺のものにしたいんだ。 判ってくれ」

チェギョンの耳元でそう囁きながら、そのまま唇を白い首筋に落とすと、その首筋まで真っ赤にしてチェギョンは黙り込む。  
それがあまりにも可愛くて可愛くて、つい俺の本音が出てしまって怒らせるという繰り返しだった。

「早くお前を抱きたい」
「ば・・・! ばか! もう知らない!! ///// 」






そして今やっと俺たちは韓国に帰って来た。
なんとおばあさまが沢山のマスコミを引き連れて出迎えてくれていて、チェギョンは言葉もないようだった。

「チェギョン! よく帰ってきてくれました!」
「・・・こ、皇太后さま・・・っ」


衆人環視の中、呆けているチェギョンをぎゅうっと抱き締めたおばあさまは、にっこり笑いながらカメラに向かって言った。

「皆さま、大君の妃になるシン・チェギョン嬢です。 大君が早く早くと急かすので、既に婚礼の準備は整っています。 来週末に婚礼です。 あと10日もありませんが、今までずっと心を寄せ合っていた二人にとっては待ち遠しいことでしょう。 皆さま、どうか二人を見守ってくださいね」

このおばあさまの言葉に、周りの観衆から歓声が上がった。
多分、生中継の向こうのテレビの前でもだろう。 


俺は湧き上がる喜びを抑えることが出来ず、チェギョンを引き寄せてその柔らかい頬に唇を押し当て、左手でチェギョンの左手首を掴んで高く上げた。
チェギョンの左手首には俺とお揃いの腕時計があるし、薬指には指輪がある。
記者たちもそれに気付いたようで、カメラのフラッシュがすごかった。





その夜は時差ボケもあり疲れているだろうと 俺の楼閣内の別の部屋でチェギョンは眠ったのだが、次の日、あちこちに挨拶に行って気を使いまくったチェギョンは、その夜何人もの女官に風呂に入れられツルツルに磨きあげられ、韓服を着せられて俺の部屋にポイッと放り込まれた。

俺の部屋は、仄かな灯りと焚かれている香が、如何にもな雰囲気になっているのだ。
チェギョンはそれを見て、部屋に一歩入ったままで足を止めている。
俺が後ろに居ることも知らずに。


俺は背後からチェギョンを抱き締めて言った。

「新婚初夜を迎える夫婦の部屋だ」 
「きゃあっ! ///// 」

文字通りチェギョンは飛び上がり、真っ赤になって逃げようとした。
が、ここまで来て俺が逃がすと思うか?




「シ、シン君っ、シン君・・・っ /////  ま、待って、ね、待って・・・っ /// 」

暴れるチェギョンをひょいっと抱き上げ、俺は奥のベッドに足を進めた。

「待てないんだ、チェギョン」

チェギョンをベッドに放り投げ、その身体に覆い被さりながら、俺はその言葉と同時にまだ何かを言おうとしたその唇を塞いだ。
   



「ん・・・っっ・・! う・・・っ」

俺にとって、狭いチェギョンのナカは最高に心地良かったが、チェギョンは痛みだけだったようだ。


その夜はお互い初めてだったこともあり、一度放っただけで抱き締めて眠ったのだが、次の夜からは俺に遠慮がなくなり、当然のようにチェギョンを抱き、俺の部屋では毎夜、チェギョンが漏らす声と俺の荒い息遣いが響いていた。







「愛してるよ、チェギョン」
「うん」

婚礼が済んだというのに、チェギョンはまだ俺に言葉をくれない。
抱く時に焦らせまくって愛してると言わせてもいいのだが、そんな風に聞くのではなくチェギョンの心からの言葉を聞きたいのだ。

チェギョンが俺を見る眼と態度で、俺を愛してくれているのだということは確信している。
が、言葉に出してもらえないのは今までの罰なのだ。

俺はそう思っている。

もう一度妻に出来たしこうしてチェギョンを抱くことが出来るのだから、それで良しとしなければ。





そして二カ月後、俺は皇太子に復位した。
大君妃だったチェギョンも再び皇太子妃として冊封された。




立太子式を終えた次の日、俺とチェギョンの会見があった。
皇太子夫妻としての初めての会見だ。

会場に入る扉の前で、緊張しているであろうチェギョンの頬にキスをし、その手にキスをし、俺はチェギョンを見つめた。

「大丈夫だ、俺が話す。 だがもしかしたらお前に質問が行くかもしれない。 その時は頼む」
「うん、大丈夫。 皇后さまに教えていただいたし、それにこの子のためにもしっかりしなきゃね」
「え?」


今何て言った?


チェギョンは眼を丸くした俺の手を取り、自分のぺったんこのお腹に当てた。

「ここに愛する人の赤ちゃんが居るの。 私たちパパとママになるのよ。 この子が見てるわ。 頑張ろうね、パパ」

チェギョンはにっこり笑ってそう言ったが、俺は咄嗟に言葉が出なかった。

「・・・・・俺の子?」
「当たり前よっ」
「・・・愛する人の子・・・って言った・・・・・」

チェギョンは、呆けたようにそう言った俺の頬に手を伸ばして 俺の唇にちゅっとキスをした。

「愛してるわ、シン君」
「チェギョン・・・。 ほんとに?」
「ほんとよ。 ほんとに愛してる」
「・・・本当に?・・・」
「ほんとだってば」
「本当か?」
「しつこいっっ」

チェギョンは怒ったようにそう言って、もう一度俺にキスをした。
舌が滑り込んで来る。

嬉しくて嬉しくて、俺はチェギョンの細い身体に腕を回し、そこが扉の前だということも忘れて、舌を絡めて激しいキスを繰り返した。




次の日、会見の記事よりキス写真のほうが大きいのを眼にして、チェギョンが東宮殿のパビリオン中に響くような声で叫んだ。

「嘘――――――――ー!!!/////// 」










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