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弐拾 32


シン君は突然私の前に現れた。
会いたかったと言うなり私を抱き締め、私にキスをした。

私のファーストキスだ。
シン君もだそうだ。


ほんと?
ほんとに私を愛してる?
シン君のキスは私のものなの?


大好きな噴水の前でのシン君とのキス。
すごく素敵なファーストキスで、私はうっとりしてしまっていた。




お土産があるからと、シン君にホテルの部屋に行こうと言われた。
翊衛司さんたちも居ることだしと付いて行くと、家族へのお土産の数に驚いたのだが、それよりも私の分が尋常じゃないほど沢山あった。


公務のたびに、私のために買ってくれてたの?


私ひとりにこんなに国民の税金を使うなんてと思ったが、そのシン君の気持ちは素直に嬉しかった。
その後、指輪のケースを開けてプロポーズしてくれたのも嬉しく思っていたのだが、あからさま過ぎるシン君の言葉に、とうとう私の頭がついて行かなくなってしまった。


“愛”という言葉を連呼されるだけでかなり恥ずかしかったのに、その後シン君は・・・、“身体”を・・・くれとか言ったのだ!

・・・“身体”をくれ・・・!

もうとてもそれ以上聞いていられなくなって、パニくり過ぎて、気付いたらホテルのエレベーターの中だった。





シン君が追いかけて来ないことにほっとしながら、とにかく頭を冷やそうと外を暫く歩き、その後バスで家に帰った。
すると・・・。

「おかえり、チェギョン」

私が玄関を開ける前に出て来たのはシン君だった。


「シ、シン君っ! な、なんで・・・っ」
「お前土産を持たずに帰っただろ? だから運んで来たんだ」

シン君は平然とそう言った。

「あ、ああ・・・。 ありがと。 じゃあね」

シン君は、そう言っただけで家に入ろうとした私の左手を掴み、その手の甲にキスをした。

「あ、あの・・・っ /// 」
「忘れものだ」

その言葉とともに、私の薬指に指輪がはめられた。
シン君のプロポーズの時の指輪だ。

綺麗な指輪に一瞬見惚れていると、シン君が私の手を引いて家に入ろうとした。

「え? なんでシン君も?」
「今夜はこちらで夕食をごちそうしてもらえることになったんだ」
「は??」



なんとシン君は、私がバスでゆっくり帰ってる間に先にうちに来て、家族に挨拶を済ませたのだそうだ。
あの所謂、お嬢さんをくださいってのをしたらしい。
それを聞いて茫然としている私の薬指に母がいち早く気付いて、私の手を握って言った。

「幸せになるのよ、チェギョン」
「・・・」

ぽかんと口を開けたままの私に、チェジュンが携帯を差し出した。
動画を撮っていたようで、シン君が嘘臭く照れる中、私は呆気に取られたままチェジュンの携帯を覗き込んだ。



『お久しぶりです、お義父さま、お義母さま』

という挨拶から始まって、

『チェギョンさんへのプロポーズは済ませました。 その、キスも交わしました』


えええええ??
ソレ言ったわけ?? /////


『皇室の家族も、全員がチェギョンさんとのことを認めてくれていますし、私がチェギョンさんを妻として迎えることを待ち望んでくれています』
『ニ度とあのような目には遭わせません。 私が全身全霊で守ります。 一生チェギョンさんを愛すると誓います。 ですからどうか、チェギョンさんを私の妻として、もう一度宮に迎えることをお許しください!』

両親は、シン君がソファーに座ったままとはいえ顔が膝に付くくらい頭を下げたことで気の毒なほど狼狽えていて、はいっ、よろしくお願いします!と口を揃えていた。


二人ともあのお土産に釣られたんじゃないの!?


でもその時のシン君の嬉しそうな顔ったら・・・。
それを見ただけで、私まで嬉しくなってしまった。





結局、私はシン君のプロポーズを受けたことになったし、どちらの両親も認めているということで、あっという間に私だけの帰国が決まった。


えええええ???
私一人が帰国??
マジ???


が、この時私は、一人で帰国といってもまだ先のことだと思っていたのだ。




シン君を交えた夕食が済み、私の部屋に行きたいとダダをこねたシン君を何とか帰らせてほっとしていると、ガンヒョンから電話があった。

『殿下と一緒に帰国するんですってね。 いつの間にそんなことになったのよ、水くさいっ』


は???
いやいや、一緒になんて今初めて聞いたんですがっ。


「一緒にって、シン君は2週間の休暇だって言ってたのよ?」
『でも宮のコメントがあったわよ。 <シン大君殿下が妃となるシン・チェギョン嬢を迎えに行かれました。 お二人が無事愛を育むことが出来ましたのは、国民の皆さまが温かく見守ってくださっていたからです。 どうかこれからも、一生をともにするお二人の、心の支えになっていただきたいと思っております>ってね』
「はああああ???」



その後、ユミンが興奮して電話してきた。

『チェギョン! あなただったのねっ! ああっ、悔しいわっ! なんで私気付かなかったんだろ! 私があなただと思いもしてなかったから、自分からは言い辛かったのよね、ごめんね、チェギョンっ!』

ユミンは一方的にそう捲し立てた。
何故私だと判ったのか聞くと、ネットに噴水でのキスが出てるというのだ!



慌てて検索すると、あの噴水でのシン君とのキスシーンが、離れ離れになっていた恋人同士の熱烈な抱擁!と題して、シン君が私の名を呼んで抱き寄せるところから、キスを終えて二人で手を繋いで噴水を離れるところまでがずっと出ていた。
おまけに宮のコメントも既にネットに上がっていて、どちらもすごいアクセス数だった。


・・・・・・・・。
これもしかして、私はシン君のお妃さまに決定したってこと?




そしてなんと次の日、シン君は大学に私の退学届を出してしまったのだ!

シン君が再び私の前に現れたことでユミンがきゃあきゃあ騒ぐ中、シン君は平然と言った。

「たった今、お前の退学届を出して来た。 来週俺と一緒に韓国に帰ろう」
「は?」
「きゃーーー!! 素敵ーーーーー!!!」

有無を言わさないシン君が素敵過ぎると言って興奮しまくりのユミンは、もううちの学生じゃないならさっさと旦那と帰国しなさいと言って、私を追い立てた。

「ちょっとユミン!」
「シン殿下、チェギョンをよろしくねっ」
「ああ。 任せてくれ」
「シン君ってば!」






その後、慌ただしく近所や友人たちへの挨拶を済ませ、再びあの沢山のお土産を積んで、私は今シン君とともに皇室専用機に乗っている。
シン君がここアメリカに来てから、まだ10日も経っていないというのにだ。

「・・・シン君、私プロポーズOKした?」
「ああ」


嘘吐きっ!




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