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肆拾漆 12

肆拾漆 11

鏡花水月 9(完)

王様の婚礼から数日後の夜、床の準備をしながらチェギョンが俺に聞いて来た。「宮殿に居たのなら、王様付きの尚宮を見なかったですか?」「下男がそんな人の姿を拝めるはずないよ」ドキッとしたのを押し隠してそう答えたものの、“見なかった”という言い方が気になっていると、チェギョンはあっさりあの尚宮とのことを俺に教えた。「彼女、イ・ガンヒョンさんといって、私が小さい頃から知ってるオンニなんです」チェギョンより5歳...

鏡花水月 8

「助かって良かったですね、イさま。 さ、これを」彼が差し出したのは、後宮に入る時に俺が持っていた荷物だった。「先に謝罪いたします。 実は、お母さまのところへは行けませんでした」「え・・・」昨夜、俺が義愛合に入ってから宮殿を出るべく身支度をしていたリュ内官は、王様付きの尚宮に呼ばれて、イ・シンジェさまを助けるから手を貸しなさい、と言われたそうだ。「私に否やがあろうはずがなく、そのまま宮殿に残って策を...

鏡花水月 7

「じゃあ行って来ます、お父さま」「ああ。 仕上げは急がないとお伝えしてくれ」「はい」宮殿に行った次の日、私は入荷した反物を手に、イ家、つまりシンジェさまのお母さまであるユソンさまと、お姉さまであるへミョンさまの家に向かうべく、身支度をして男性使用人と一緒に店を出た。実はお二人に飲んでもらおうと、こっそり高麗人参をくすねている。家族には内緒だ。シンジェさまが隣国へ行かれてから、祖父は、『シンジェさま...

鏡花水月 6

部屋は薄暗くて蝋燭の灯りだけだ。奥に真っ白な褥が見える。青磁の壺など、素晴らしいであろう物も置かれているようだ。・・・妓房での褥とあまり変わらないものだと思ってしまった。インではないが、俺が初めてなら王様相手にどうしていいか判らなかっただろうと思うので、そういう経験があったことは良かったと思う。チェギョンはどうしているのだろう?縁談が舞い込んでいるはずだ。もしかしたら、誰かの妻になっているかもしれ...

肆拾漆 10

鏡花水月 5

「ふん。 地味な格好で“その気はありません”って振りをしてたってことだな」「選ばれようとして派手な格好した俺たちが馬鹿みたいだぜ!」最初の伽が俺だったのが気に入らないらしく、他の側室たちはそう言って俺を詰った。インも不機嫌そうだったというのに、一番年長のパク・ジョングという人だけが彼らを止めてくれたのである。「止めろよ。 俺たちも側室なんだから、遅かれ早かれ伽はあるさ。 彼が一番だっただけだろ?」「...

肆拾漆 9

鏡花水月 4

「え? ソ家のユルさんとの縁談???」「ああ。 いいお話だぞ」「・・・」ソ家というのは都でも3本の指に入るほどの豪商で、そちらのほうから持ち込まれて来たらしい。あちらは薬種を扱っているし、ウチは織物や陶磁器などを扱っている。多分、双方に利益があると踏んでのことだろう。両親は、シンジェさまのことで泣いていた私が、彼を忘れられたらと思っているのかもしれないが、そんなことは当分、いや、一生無理だ。「お断...