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You only live once 11

「シン、お帰りなさい」ヒョリンは当然のようにそう言ったが、俺には何がどうなって此処にヒョリンが居るのかが判らないし、インのクラブでのこともあって、あれは本気だったのか、だから家に来たのかと、腹立たしい思いだった。「何故此処に?」苛立ちから出た当然の質問だったが、それに答えたのは母だった。「シンったら。 ヒョリンさんが帰国したのならあなたが連れて来ればいいのに」「は?」いや、ヒョリンが帰国したからと...

肆拾陸 9

恋人を見送りに行くというシンの派手な行動は、当然のようにマスコミに取り上げられた。『皇太子殿下に恋人が居た!』『空港でのお二人!』だが既に宮が手を回していたこともあり、チェギョンの名前は勿論、顔にもモザイクがかかっていた。マスコミの記事も、皇太子の恋を温かく見守ろうという思いが感じられる内容で、国民も概ね微笑ましく見ていた。<概ね>というのは、やはりというか気に入らない人間が居るからである。ユンギ...

肆拾伍 24

「バツイチの男でもいいなら、俺の妃になって欲しい」その言葉の意味が頭に入るまで、少々の時間を要した。つまり、皇室からの打診ではないだけで、国民の眼を逸らすための再婚相手が私ということか?何故私だろう?王族の女の子は他にも大勢居るし、大体、父は何も言っていなかった。ということは、王族会での決定ではないということだ。ならば何故、私なのか。その理由を探していて返事もせずにいたせいか、シン君の手が私の肩に...

You only live once 10

「え? キム先生が異動になったんですか?」「そうなの! 彼女、お迎えに来たパパたちに色目使ってたらしいから、そっちの誰かから教育委員会に言われたみたいよ」「へえ」「あなたも彼女に酷いこと言われてたって聞いたわ。 だから自業自得よね〜」「あ、まあ・・・」幼稚園の年長組さんのお母さんが、朝ソジュンを送って行った私に飛び付いて来て教えてくれた。キム先生は、給料減額の上、地方に行ったそうだ。あんなことを言...

肆拾陸 8

ミン・ユンギ側に特に何の動きもないまま、シンが高校を卒業した。夏からのイギリス留学が決まっているので、今のうちに殿下に来ていただきたいと公務の依頼が殺到していて、王立大学に入学しているものの、碌に登校も出来ず、シンは忙しい日々を送っていた。それでも、少しでも時間があればチェギョンへの電話を欠かさないシンだ。『お前も一応王立に入学してるんだろ? 留学が終われば一緒に通いたいな』シンは、留学を終えて帰...

肆拾伍 23

想う女性が居るのならはっきり言葉にしろ。その母上の言葉に背中を押された俺は、その場で母上に言った。「実は好きな子が居ます」シン王族の娘チェギョンなら問題ないと、母上はあっさり賛成してくれた。が、その理由が、「慶事でこの事件のことを忘れさせよう」というものだったのである。「国民の眼を逸らすためですか?」「そうですよ。 でも、あなたはシン・チェギョンが好きなのでしょう? ならば何の問題もないですね」「...

You onry live once 9

義兄がまた買い付けに行ったとかで、姉が再び家にやって来た。2ヶ月ぶりだと、母たちは喜んでいる。「シン、キム先生ね、地方に行ったわよ」姉は俺の顔を見るなりそう言った。キム先生というのは、俺に擦り寄ってチェギョンを馬鹿にしていた幼稚園の先生のことだ。あれから早速教育委員会が動いたということだろう。「ほんとにソウルを離れたのか?」「うん。 10%の減給が半年と、地方の幼稚園に5年だって。 自業自得よねー...

肆拾伍 22

ヒョリンと府院君さまは、裁判で実刑判決を受けた。「20年って重くない?」チ・ソヌ君は亡くなったわけではないのにと思ったのだが、母曰く、相手が皇室だからだろうと言った。「大体、現皇太子妃や府院君がそんなことをしてたなんて許されないわ。 もっと自分たちの立場ってものを考えるべきだったのに」辛辣な母は、20年や5年じゃ軽いくらいだと言いながらも、まだ気が収まらないようだった。「それに! 既に処女じゃなか...

You onry live once 8

ソジュンを幼稚園に迎えに行くのはいつも遅くなる。小学校の先生たちは、私の事情を知っているので、早く帰れるようにと思ってくれているようだが、遅くなってしまう時もある。そしてそんな時は、幼稚園のキム先生に嫌味を言われるのである。「遅いですよ。 またソジュン君が一番最後です」「すみません、キム先生」ソジュンひとりのために残ってくれているのが判っているので、私は謝るしかない。「此処は保育所じゃないんですよ...

肆拾伍 21

ヒョリンたちがしていたことは公にされ、廃妃になったことも公表された。国民の反応は、『そんなだったのか!』『ネコババなんて最低!』というものが殆どだったのだが、やはりというか、俺の責任を問う記事が出たのである。『稀に見る皇太子妃だった。 だが、そんな人間を皇室が受け入れたこと自体が問題だ。 夫である殿下の責任は大きい』『殿下も責任を取って退位すべきであろう』それに対して、肯定する意見はすぐに出た。『...