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花嫁の資格 9

マンションは本当に広く、この最上階のフロア全部が一部屋なのだそうだ。玄関を入ってすぐのリビングなど、施設の1階全部が入るんじゃないかというほど広いのに一部屋?いや、これはリビングとは言わないのかもしれない。天井も高いし、窓も殆どの方角を見渡せる。その外はベランダ、いやルーフバルコニーというらしいが、それもすごく広い。「・・・施設が全部入るかも」「え? なあに? チェギョン」「あ、いえ、何でもありま...

花嫁の資格 8

「初めまして、ミン・ヒョリンです」「イ・シンです」なるほど、確かに美人だ。27歳だからかやはり大人の女の色気があるし、女っぽい。そう思ってから、誰と比べてるんだと思わず顔を顰めてしまった。が、ミン・ヒョリンは表情を変えずにニコニコしている。休日の午後、俺はレストランの個室でミン・ヒョリンに会った。彼女は母親のソ・ファヨンさんと一緒で、俺の横には父ヒョンが居た。それぞれ簡単に挨拶を交わした後、当然の...

花嫁の資格 7

『シン、夕食を食べに来なさい』祖母からの誘いというか命令を断る都合のいい理由がなく、俺は祖母が退院した次の日の退社後、祖母と子供が住んでいるマンションに向かった。「私の退院祝いなのよ」「はあ」ダイニングテーブルには、所狭しと料理が並べられている。まさか子供が作ったのではないだろうな?そう思いながら座ると、祖母が言った。「今日から此処にもウチの家政婦を一人回してもらうことにしたの。 と言っても料理だ...

花嫁の資格 6

誤解を与えているかもしれないと気付いたのはいいが、祖父が子供を離さずに自分の車に乗せてしまったので、祖母の病院に着く前に子供に事情を伝えることは出来なかった。まあいい、後で言っておこう。祖母は、子供を見てすごく喜んでいた。眼が昔の恋人にそっくりだそうだ。つい祖父を見ると、良かった良かったとこちらも喜んでいる。自分の妻が、昔の恋人の眼を今でも憶えていてそっくりだと泣いて喜んでいるのを見て、不機嫌にな...

花嫁の資格 5

会長は、やはりというか老人だった。80歳を過ぎていると思う。売られたのだからと覚悟していたつもりだったが、本人を眼の前にすると逃げ出したいほどだった。このおじいさんやアジョシの愛人になるなら死んだほうがマシかとさえ思ってしまう。大きな家のだだっ広いリビングで、ソファーに座っている老人の前で動けずにいた私に、老人、いや会長が言った。「おお・・・、お前がチェギョンか」「はい・・・」同じように座らされ手...

花嫁の資格 4

「チェギョンは音楽会の準備で廃墟に行きました」“廃墟”などどいう言葉はテレビか映画くらいでしか聞いたことも見たこともなく、院長夫人が呼びに行くというので、俺も一緒に行くことにした。「面白そうですね、私も行きます」そこは文字通り廃墟だった。こんなところで音楽会なんて気が知れない。が、まあ施設の子供たちにすれば年に数回の楽しみで、喜んでいるのだそうだ。チェギョンは1番年長なので、率先して飾り付けをしてい...

花嫁の資格 3

俺はイ・シン。JJグループで専務をしている。平社員からのし上がったわけではなく、単に社長の息子だからだ。が、それだからこそ仕事は頑張っているつもりだ。「シンもギョンもいい加減嫁をもらえ。 ムスコが腐るぞ」そんな下品なことを言うのは既婚者の友人カン・インだ。「俺たちはそんな心配要らねえのっ」インをバシバシ叩きながらケラケラ笑うのは未婚の友人チャン・ギョン。どちらもそれなりの企業の息子で、俺とは高校の時...

花嫁の資格 2

「あの、シン・チェギョンです」その言葉で、男性はゆっくり振り向いた。なかなかのイケメンさんだ。アジョシだが。その人は、にこりともせずに、じっと立っている私を頭の先から足先まで不躾にじろじろ見た。そのことで不意に、売られたのではという疑惑が浮かんでしまった。おじさんが反省したというのはおばさんの方便で、やはり私は売られてしまったのだろうか?それともおじさんではなく他の親戚の誰かに?思わず肩を竦めたが...

花嫁の資格 1

Start over again 22(完)