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肆拾陸 16(完)

「突然のお呼びとは、何かあったのですか? おまけに宮から迎えが来るなんて」ヒョリンに騙されたことを散々ユンギに叱られた彼の妻は、迎えまで寄越しての皇室からの呼び出しに、一抹の不安を覚えていた。夫と娘が、妻であり母である自分に隠し事をしていることは、なんとなく察しが付いていた彼女だったが、皇室が絡んでいるとなると、実家に迷惑をかけないために、縁を切ることを考えなくてはならないかもしれないのだ。夫にそ...

肆拾陸 15

・・・退屈な映画だ。周りの女性たちは眼に涙を溜めているが、何がどうして悲しいのかインには判らないので、欠伸ばかりが出る。チェギョンとその友人はインの少し前に座っていて、やはり泣いているようだ。・・・外で待っていよう。後ろに居た女性に睨まれながら立ち上がったインは、座席前の通路に出てからチェギョンを振り返った。観客席は暗いので、チェギョンが居るのはあの席に間違いないか前から確認しようと思ったのだ。す...

肆拾陸 14

ダインがシンの前でよろめいた時、見知らぬ女性に警戒心を持っていた翊衛司たちの身体はすぐに動いてシンとその女性の間に割って入り、シンは翊衛司たちによってダインから遠ざけられた。が、ダインはわざと躓いたことで本当に倒れかかっていて、ちょうど傍に居たジソンが彼女を受け止めたのである。「大丈夫ですか?」ダインの魂胆が判っているのでそんなことを気にしてやる必要もないが、同僚の翊衛司たちの手前、ダインの身体を...

肆拾陸 13

「え? 私が未来の皇后になるですって?」「ああ。 最高だろう?」イギリスに行って皇太子と関係を持てと言われたダインは、ベッドから立ち上がって身支度をしているユンギを見上げた。「つまり、私を皇太子妃、ゆくゆくは皇后にして裏で皇室を操ろうというの?」「そうだ。 ふふふ、お前ならさぞかし賢くて美しい皇后になるだろうな」ホン・ダインはユンギの妻の遠縁に当たる女で、シンより5歳年上の24歳だ。高校生の頃から...

肆拾陸 12

「おはよ、シン君。 /// 」「おはよう、チェギョン。 // 」次の朝、別々の部屋で眠ったといえど、少々照れが勝って眼を合わせられずにいたものの、どちらも幸せだった。特にシンは、この幸せがずっと続けばいいと思っていた。そのためには、ミン・ユンギのような輩に嵌められないようにしなければならない。『ミン王族があのまま諦めるとは思えません。 何としても大君をと考えているのならあなたが邪魔ですが、大君を諦めるのな...