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肆拾参 19(完)

今チェギョンは、ケビンのお墓の前で手を合わせている。そろそろ10分くらい経つだろうか?昨日は犠牲者の会の人たちと会食をしてホテルに泊まり、今日になってやっと、ケビンの家に来てお墓に案内してもらったのである。じっと佇んでいるチェギョンの背中を見守っている俺に、ケビンのお母さんが話しかけて来た。【 もういいんじゃないの? 】【 いいえ。 彼女の気が済むまでそっとしておいてやりたいんです 】多分、もう来...

肆拾参 18

カタ、という音は一度だけだったが、嫌な気配というか予感がして、俺はそっとベッドから下りてその下に隠れた。勿論布団は膨らませておく。部屋は真っ暗だ。もし誰かが入って来てベッドに近付いても、部屋の主は寝ていると思うはず。そして、やはりというかそっと部屋に侵入して来た人物は、持っていたナイフをベッドに突き立てた、ようだった。だが感触がないことに気付いたらしい人物、いや犯人がハッとして布団を捲った時に、俺...

肆拾参 17

ギョンの別荘を出てチェギョンを連れて宮に戻り、わざわざ恵政殿さまに会った。俺たちが無傷なことを見せ付けてやりたかったのだ。が、驚いた顔をしたのは一瞬で、恵政殿さまは平然と挨拶したのである。さすが狐というべきだろうか?恵政殿さまとユルが退室してから、チェギョンは家に帰ったのだが、俺は大妃殿に向かった。既におばあさまには連絡していて、父上と母上も来ることになっている。いよいよ恵政殿さまの逮捕なので、そ...

肆拾参 16

『何のことか判りませんわ』恵政殿さまは終始そう惚けていたらしいが、放火の時に捕まっていたペク・チュンハやチェ・ジノや他の犯人たちが自白していたので、とうとうソ・テヨンが認めたそうだ。アメリカでのことも放火のことも、邪魔な皇太子を殺そうとしたのだと自供したのである。『元は甥のユルが皇太子になるはずでした。 なのにその当然の権利が通らなかったので、今の殿下に、死なずとも重傷を負わせる必要があったのです...

肆拾参 15

ガンヒョンたちと別れてソウルに戻り、私はそのまま宮に連れて行かれた。「父上たちが心配してるから顔を見せてやってくれ。 恵政殿さまにも、無事だったことを見せ付けてやろう」チャン家の別荘が火事になったことはお耳に入っているらしく、大丈夫なのか、チェギョンさんは怪我をしていないのかと陛下からも皇后さまからも電話が来ていたらしい。それは判る。ウチの両親は事情を知っていたし、祖父が関わっているのでまだ電話は...