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肆拾壱 16(完)

チェギョンを抱き締めていることが信じられず、つい強く抱いてしまっていたが、チェギョンが俺の胸で泣き始めたことで少し冷静になれた、ように思う。チェギョンの身体に回していた腕を、ほんの少し緩めることが出来たから。「チェギョン、無事で良かった」チェギョンは泣きながら俺の胸で頷いていた。呆気に取られていた宿の女将さんとやらには過分な謝礼を渡して、俺たちはソウルに向かった。「何故私のことが判ったの?」ギョン...

肆拾壱 15

殿下が何故此処に居るのか判らないし、息が出来ないくらい強く抱き締められていて苦しかったが、殿下が震えていたのは判った。「よかった、よかった・・・。 よかった・・・っ」小さく何度もそう呟いていて、心配してくれたことも判った。そして私はというと、殿下にしがみついて泣いたのである。あまりにほっとして、心配してくれたのが嬉しくて、殿下の胸が温かくて。「ギョン君が知らせてくれたの? 何故??」ガンヒョンが焦...

肆拾壱 14

チェギョンが宮に来たその日の夜、ギョンから電話があった。『ガンヒョンの友人のチェギョンが帰国したんだ。 お前にも一度紹介しただろ? 憶えてるか?』「ああ」『でさ、留学から戻って早速仕事の依頼が来たらしいぜ。 なんか俺まで鼻が高い!』ギョンはテンション高く喜んでいる。彼は俺やチェギョンが留学している間に入隊していたので、今大学3年だ。卒業したら父親の会社を手伝うらしい。『ガンヒョンも喜んでた!』ギョ...

肆拾壱 13

ヒョリンにナイフを突き付けられたまま、私は車に乗せられた。そっと向こう側のガンヒョンを窺うと、彼女は驚いたようにこちらを見ながら携帯を耳に当てていて、と同時に私の携帯が鳴ったのだが、それはヒョリンによって窓から外に投げ捨てられた。何も言わずにエンジンをかけたヒョリンの顔をじっと見ている私に気付いたのか、ヒョリンは私に視線も向けずに言った。「あんたのせいで何もかも終わりよ。 出所しても迎えもなく、マ...

肆拾壱 12

帰国してから、殿下からメールが来た。『ごめん、今気付いた。 2年間よく頑張ったな、お疲れさま。 俺ももうすぐ帰国する。 また連絡するから』一国民を労ってくれるなんて、ほんとに良い人だと思った。さすが皇太子だ。ありがとうございます、殿下。私たち国民はあなたを誇りに思っていますよ。それをメールで送ることは出来なかったが、これで殿下との暫しの交流も終わった。思わぬことに皇太子と話せたなんて、一生の宝にな...