FC2ブログ

伍 18

俺を見ることなくそう言い放ったチェギョンに、一瞬言葉が出なかった。だがここで黙り込むわけにはいかない。俺は気持ちを奮い立たせてチェギョンに向き合った。「嘘じゃない、俺はお前が好きだ。 今までが今までだから、信じられないのは判る。 だがもう一度話を聞いてくれ。 さっき言ってなかったことがあるんだ。 一度に言ってもと、さっきは母上とヒョリンの事実だけをお前に話した。 先に事実を知ってほしいと思ったから...

伍 17

チェギョンが泣きそうになっていることに気付き、俺は再びチェギョンの頬に手を伸ばした。だが思わぬ力で俺の手を振り払って、チェギョンは叫んだ。「触らないで!」ひとこと口から出ると、もう止まらなくなったようだった。チェギョンは泣きながら俺に食って掛かって来た。「私がどれだけ辛かったかあなたには判らないわ! 宮でどれだけ淋しかったか!」「入宮した時、婚礼までの2週間、あの楼閣で私はたった一人だった。 昼間...

伍 16

チェギョン。誰かが私を呼んでる。チェギョン。男の人だ。誰だろ?パパ? じゃないみたい。チェジュンでもないし。チェギョン。とてもせつなそうで、悲しそうで、でも優しい声だ。誰だろう?その声の主を確かめたくて、私は重い瞼を開けた。「チェギョン! 目が覚めた?!」「・・・ママ・・・?」母は、よかった、ほんとによかったと私の手を握って泣いていた。心配したのよ、と言って私の頬を撫でている母を見ながら、私は、此...

伍 15

俺が病室に入ると義母上は居なかった。着替えを取りに家に帰ったと言うチェ尚宮に、俺は頼んだ。「しばらく二人にしてもらえますか?」頭を下げて隣の部屋に入ったチェ尚宮を見送り、俺はチェギョンの傍に行った。チェギョンの白い頬に手を這わせる。何度も何度も撫でながら、俺はチェギョンを呼んだ。「チェギョン」「チェギョン、目を覚ましてくれよ」「俺に謝らせてくれ。 頼むよ、チェギョン」「お前が好きなんだ。 傍に居て...

伍 14

その後、ヒョリンはそのまま警察に連れて行かれた。俺に対する侮辱罪とチェギョンに対する傷害罪だ。すぐあとでミン・テソクも、家に帰り着くのを警察が待ち構えていてヒョリン同様逮捕された。ヒョリンは金を渡した相手の名前を書き記しており、3年音楽科の生徒4人と、チェギョンの担任、チェギョンのクラスメート7人も逮捕されることになった。だがチェギョンを苛めていた者はもっと居る。俺は次の日、警官を引き連れて学校に...