fc2ブログ

TOP




saoさまにいただいた画像です。
転載や持ち出しはご遠慮ください。



saoさま55(2022年1月TOP)





はじめまして。

韓国ドラマ「宮」の二次小説を書き綴っています。



全くの個人の趣味ですし、
ド素人ですのでおかしな表現も多々あるかと思いますが、
皆さまの広いお心でお許しいただきたく思います。




主人公が辛いお話も多くありますし、増えて行くかと思います。
そういうのは嫌だと思われるなら、そっと回れ右をなさってください。


誹謗中傷コメントは、読む私が辛いので控えていただきたいです。

何と言っても個人のブログなので、
お話が気に入らなくても、眼を瞑っていただければと思います。


よろしくお願いいたします。





saoさま36(2022年1月TOP)






画像付きの記事につきましては、
「限定公開」とさせていただいています。
     (桃っぽいシーンがあるお話もです。^^;)

パスワードが付いているので、クイズの答えを入力してください。
クイズはドラマ関連のものです。



<saoさま原案のお話>にもsaoさま作の画像が付いているので、
全てにパスワードが付いています。





<bellの小部屋>のお話のシン君は皇太子ではありません。
皇太子でなきゃ嫌だと思われる方は、行かれないことをお勧めいたします。




saoさま22(2022年1月TOP





当ブログ内の画像は、個人で楽しむためのものです。
著作権、肖像権等を侵害するものではありません。
転載や持ち出しは決してなさらないでください。



スポンサーサイト



untrue 17



チェギョンを追い掛けて行き、恨んでいたことやチェギョンは犯人ではないと思いながらも、何もしなかったことを、彼女に話した。

「悪かった」
「いいえ、シンさんは全然悪くないです」

シンさんと言われたことが胸に刺さった。
もう、オッパではないのだ・・・。


ガンヒョンさんに言われた言葉を伝えると、チェギョンは薄く微笑んだ。
彼女の気持ちが嬉しかったのだろう。


それに乗じて、これから俺も連絡したいと伝えることが出来て、無事、いやなんとか了承も取れて、正直ほっとした。

これからだ。

先ずは真相究明、そして犯人逮捕。
チェギョンとのことはその後になるが、そのうちヘミョンに会わせてやりたいとは思っている。





それから、事件については特に何の進展もなく一週間が過ぎた。

が、チェギョンとは連絡を取っている。
いや、俺が一方的にヘミョンの動画を送っているのだ。
小さい頃からのものを全て。

『チェギョンが喜ぶから送りなさい』

と、母に言われたのである。

『ヒョリンが映ってるのは絶対ダメよ!』

とも言われたが、彼女が映っているものは全て削除したので大丈夫だ。


当然だろうがチェギョンは喜んでくれている。
電話の向こうで泣いている気配もして、ヘミョンと一緒に暮らしたいはずだと思う。
だが先ずは解決してからだ。


チェギョン、待っていてくれ。
事件が片付いたら必ずプロポーズするから。

「OKしてくれるとは限らないんじゃないの?」

ファンにはそう揶揄されたが、大丈夫なはずだ。
絶対・・・!





そんなある日、チェギョンから電話が来た。
キム・スニョンさんの母親が、会長が居ないのを見計らって「忘れ物をした」とチョン家に行き、会長の歯ブラシを持って来たそうだ。
勿論全く同じものとすり替えて。

『此処に持って来てくれました。 私たちはソウルに行けないので、どなたか取りに来ていただけませんか?』

丁寧な口調でそう言われて少々凹んだものの、すぐに行くと返事をした。
実はこちらには既にチャン刑事が、ユル秘書が使ったガラスコップを手に入れているのだ。

なのでというか、チャン刑事が取りに行ってくれることになった。


「シンが行きたかったのにね」
「・・・/// 」

図星だった・・・。





次の日、チャン刑事がチェギョンたちのところに向かってから、轢き逃げ犯に指示したというキムとやらが見つかったという情報が入った。

「名前はハン・チョルス。 ただそいつも指示されただけらしい」


ネットでの指示だったようで、ハン・チョルスはそれを破棄せずに残していたらしく、遠からずそちらも見つかるだろうということだった。


「会長まで行かなくても、側近の誰かだったらいいんだがな。 例えばイ・ユル秘書とか」
「ほんとそうですよね」

先輩の言葉にファンが頷いていた。
本当にそうなればいいが。



が、そう都合よく行かなかった。
指示を出していたのは役員の1人で、アン・ソミという中年女性だったのだ。


彼女はあっさりと罪を認めて逮捕された。
動機は、ユンギ社長を殺したシン・チェギョンを許せなかったというものだった。

『勾留されていてあの女に手を出せなかったから馬鹿な父親を狙ったのよ!』

アン・ソミはそう白状したらしい。

真犯人が男だと判った時、しまったと思ったそうだが、どうせバレないとタカを括っていたようだ。
馬鹿な女だ。




このことは、ニュースになる前にチェギョンたちにも伝えた。

『そんな理由で・・・?』

チェギョンの声に悲しみが滲んでいたが、ガンヒョンさんの、「馬鹿な女!」と言う声が漏れ聞こえて、彼女が居るならチェギョンは大丈夫だと思えた。


そしてこの時には、会長とユル秘書の親子鑑定が終わっていて、やはり実の親子だったことが判っていたので、勿論それも伝えた。
チャン刑事は、彼らにはすぐに言わず、裏を取って色々調べると言ってくれていたそうだ。





そんなある日、昼を終えて会社に戻ると、社長が俺たちの部署に来ていた。

「チョングループの新社長がイ・ユル秘書、いやもう秘書じゃないが、とにかくそのイ・ユルに決まったぞ!」
「え!?」


ついさっき、グループから内々に報告があったらしい。
まだマスコミには流されていなくて、今夜会見が開かれるそうだ。

「お前ら3人で行って来い。 カメラマンも数人連れて」
「はい!」




その夜、俺たちは7人でホテル内の会場に向かった。

勿論チェギョンたちには伝えている。
会見は生放送なので、テレビを観ると言っていた。





会場は大勢の記者たちで埋め尽くされていた。
が、何故か会長の姿がない。

「何故会長が居ないんだろ?」

誰しもが思うことのようで、近くからその声が聞こえた。

「時間になれば現れるさ」

そう答えたのは、やはりその近くに居た人物だった。
先輩も、そうだろうなと呟いている。
俺もそう思った。


が、ユル秘書が急に社長になれたのはどうしてだろう?
実の息子だからと会長が言うはずないだろうし、時間がかかったのは、施設出身とかで役員や株主たちに反対されているのではと、俺たちは考えていたのだが。

「お金をバラまいたとか?」
「そんなことで此処の役員たちが黙るか?」
「ああ、それもそうですね」

先輩とファンが小声でこそこそ話している。
まあ確かに、此処の役員や株主は金で動かないだろうな。



周りに人が増えて来て、俺たちも押されるように会場の奥に入った。
なんで急に秘書が社長になるんだろう?と皆が小さく話していて、それを聞いたファンが、

「そりゃあそう思うよね」

と呟いていた。




やっと時間になり、会場内に男の声が響き渡った。

「お待たせいたしました。 これから会見を始めさせていただきます」


テレビカメラの中継も今始まった。
チェギョンたちも観ていることだろう。


「皆さま、お集まりいただきありがとうございます。 それでは、チョングループ新社長をご紹介いたします。 イ・ユル社長です」

拍手喝采の中、彼は堂々と姿を見せた。
が、会長は居ない。


どうしたのだろうと思っていると、ユル社長が口を開いた。


「この度、チョングループの社長に就任したイ・ユルです。 皆さま、よろしくお願いいたします」

だがその挨拶の後、彼は思いもしないことを言ったのである。

「会長がこの場に居ないことにお気付きだと思いますが、実はソ・ファヨン会長は職を辞されました。 以前からご病気だったのですが、最近悪化されたので、静養なさるとのことです」

皆が寝耳に水だったようで、会場がざわめいていた。




untrue 16



チェギョンが産んだソヨンが実はヘミョンで、俺の子だった。
そのことで、先輩とファンにやいのやいのと聞かれて、俺はチェギョンと別れた経緯を全て話した。


「つまり、それだけのメールに怒ってヤケになって結婚したってことか?」
「おまけに、元奥さんの実家がヘミョンちゃんを見つけて来たの?」

呆れたような2人は「は〜〜〜〜・・・」と揃って溜息を吐き、俺は何も言えなかった。


「で? このことご両親に言うだろ?」
「言わなきゃだめだよ、シン。 明日にはチェギョンさん本人に伝えるんだから」



先輩とファンにそう言われて「はい」と返事して鑑定結果を持たされたものの、父と母になんて言おうかとずっと考えていた俺は、その夜、母の「ヘミョンは寝たわよ」という言葉で、目が覚めたかのように母に言った。

「母さん、話があります。 父さんにも」




実は母は、ユンギの事件でチェギョンが逮捕された時、憤慨していたのだ。

『妊婦がそんな危ないことしないわよ!』
『でも旦那に殴られてたらしいぞ』
『だから何よ! 殴られてお腹の子を庇うことはあっても、ナイフを持つなんて有り得ないの!!』
『・・・』

母の剣幕に父も黙り込んでしまったのである。

なのでというか、チェギョンに対して悪い印象を持っていないのではと、俺は勝手に思っている。
だから、ヘミョンのことも受け入れてくれるだろうと、実は少し期待しているのだ。




「何なの、話って」

両親が前に座ったので、覚悟を決めた俺は、先に鑑定結果を出した。

「ヘミョンと俺の親子鑑定をしました」
「「え!?」」





「・・・シンの子だったの」
「母親は誰だ?」

母は呆けたようにそう言っただけだったが、父は母親のことを聞いて来た。

「此処に書いてるじゃないの、シン・チェギョンって」
「だから何処のシン・チェギョンだ?」

答えたのは母だったが、父は何が何やら判らないという顔をしていた。

「シンが寝言で言ってた前の彼女よね」
「え!???」

驚いたのは俺だった。



なんと俺は、チェギョンと付き合っていた時に寝言でその名前を呼んでいたそうだ。

酔ってリビングで寝ていた時らしい。
あんなところで寝るもんじゃないな・・・。


「お父さんが結婚話を持って来た少し前にも、その名前を呼んで泣いてたわよ」
「ええ!???」

おいおい・・・。
自分に呆れた。



「で、このシン・チェギョンってあのシン・チェギョンなの?」

ファンみたいに鋭い母だ。

「はい、そうです」

話が早くてほっとしていた俺の前で、眼を丸くしたのはやはり父だった。

「あのって?」




「ええ?! あのシン・チェギョンなのか? 犯人として逮捕された?」


父のその言葉に、今でもそんな風に見る人が多いだろうことに、俺はこの時やっと気付いた。
だからチェギョンたちは、初めて5人で会った時に別の場所を指定して来たのか・・・。


「彼女じゃなかったでしょ。 犯人は男だったのよ」
「あ・・・、そうだった」

ニュースを思い出したのか、父は力を抜いて椅子に沈んだ。




その後、チェギョンは父親の事故の金で脅されてチョン・ユンギと結婚したらしいことを伝えると、母は可哀想にと言ってくれた。

「あなたも似たような理由で結婚したものね。 ごめんなさいね、シン」

母の言葉に、父は身体を小さくして、同じように謝ってくれた。

「私のせいだ。 結局あんなことになってしまって・・・」

だが、偶然とはいえヘミョンを引き取れたのは良かったと思っている。
ヒョリンの両親は、何も知らずにヘミョンを連れて来たのだから。

そう言うと、ほんとにそうだと両親も頷いてくれた。




それから、今かかっている仕事のことを話して、明日チェギョンに会ってヘミョンのことを伝えると言うと、母は、やり直したいの?と聞いて来た。

「・・・」


出来ることならやり直したい。
誰にも気取られていないつもりだが、いや、ファンには気付かれたかもしれないが、チェギョンと再会したことで、俺の気持ちは一気に彼女に向かってしまっているのだ。

だが、今此処ではっきり肯定出来なかった。


「・・・そこまで考えていません」

口を濁したせいかどうか、母は「いいわよ」と答えてくれた。

「ヒョリンみたいにならないだろうし、チェギョンも自分で育てたいに決まってる」
「そうだな。 彼女がいいと言うなら私も反対などしない」
「あ、ありがとう、父さん母さんっ」

思いもしなかった2人の言葉に、つい本音が出た。





次の朝。

ヘミョンのことをチェギョンにどんな風に伝えたらいいのか。
両親に話せたのは良かったのだが、あれからそのことばかり考えて、昨夜は碌に眠れなかった。

あちらでも何かあったらしいので、先にその話を聞こうかとファンが言っていたが。



「行ってきます、パパ」
「ああ、気をつけて」

手を振りながら笑顔で園内に走って行くヘミョンが、今はもっと愛おしい。
現金な自分に苦笑いしながら、俺は新聞社に向かった。




出社すると、既に先輩もファンも出かける準備が出来ていた。

「遠いからもう出よう」


車の中で、ヘミョンのことを誰が言う方がいいかと、先輩とファンが話していた。
俺はその数に入っていないようなので、ぼんやりと外を見るふりをして、今日こそはチェギョンと話そうと思っていた。





イ・ガンヒョンさんは店を構えていて、「午後から閉店します」という札を見ながら、俺たちは店内に入った。
ファンが、そちらの話からと振ってくれて、先に2人の話を聞くことになった。


昨日、ユル秘書がチェギョンの前に現れたそうだ。

彼が俺たちのことを知っていたことには驚いた。
先輩が言ったように、ファンに見張りが付けられていたのかもしれない。
ヘミョンのことがあちらにバレていなければいいが。



その後、先輩がヘミョンのことを話した。
ファンは秘書が来たのは自分のせいだと思ったのかショックを受けていたし、ヘミョンのことを俺に話させるのもと思ってくれたのだろう。


チェギョンは、鑑定書を見ても今ひとつよく判っていないようだった。
ユンギの子だと思い込んでいたのだろう。


ガンヒョンさんの言葉でやっと俺を見たチェギョンに、俺は全てを話した。
結婚した理由と、ヘミョンを引き取った経緯、そして離婚したことも。


ファンが俺の携帯を操作してヘミョンの写真を見せたことで、チェギョンは、「ヘミョンちゃんを大事になさってください」と俺に丁寧に言ってから店を出てしまった。



ところが追いかけようと立ち上がりかけた時、ガンヒョンさんが俺に聞いて来たのである。

「イ・シンさん。 あなたはチェギョンと別れてすぐに他の人と結婚したんですね」
「あ・・・、はい」

ガンヒョンさんは俺を見据えていた。

「事情があったのは判りましたが、それでもチェギョンと連絡を取ろうとはしてくれなかったんですか?」
「で、ですが電話も出てくれなくて」
「だから“もういいや”?」
「・・・」


そう言われて返事も出来なかった。
その通りだったから。


「記者なんでしょう? それに4年も付き合ってたなら、あなただけはチェギョンを信じて動いて欲しかった!」

事情も聞かずにすぐに結婚するなんて!と声を上げたガンヒョンさんは涙ぐんでいて、俺はただ謝るのが精一杯だった。




untrue 15



「ファンさんたちの話ってソヨンのことだと思うんだけど」

その夜、ヨンフンが寝入ってから、ガンヒョンが私の部屋に来た。

「私もそうかなと思ってる」

そう答えると、ガンヒョンは真剣な表情で私の前に座った。

「それでねチェギョン。 親友の私に隠してることあるでしょ」
「え・・・」
「明日彼らに会う前に、確かめておきたいことがあるの」


そう前置きしたガンヒョンは、いきなりこう言った。

「この前ファンさんたちに会った時、あなた、イ・シンさんとは初対面じゃなかったでしょ。 もしかして元彼とか?」

よく判るなあと思いながらも、私は肯定した。

「何で別れたの? まさかチョン・ユンギのせい?」
「うん」


今まで大まかなことしか言っていなかったので、私はやっとというか、ガンヒョンに何もかもを詳しく話した。
結婚に至った経緯、新婚旅行先でのこと、チョン家でのことを全て。




「何回聞いても最低な男ね、チョン・ユンギって!!」

ガンヒョンはテーブルを叩いて怒っている。

「それに会長も最低!! 身重の嫁を犯人に仕立てるなんて! 事件現場であなたを気絶させたのはイ・ユルでしょ!!」
「うん。 理由はどうあれ彼しか居ないと思う」
「なのに今日、何しに来たわけ??」

そうなのだ。
彼はどういうつもりなのだろう?
やはり、会長を恨んでいるとか?

「母親を恨んでるなら、黒幕は会長ですって言えば済むことだと思わない?」
「うん・・・、やっぱそうよね」

ガンヒョンの言う通り、それで済むことだと思うのだが。

「自分は味方のふりして、私たちを動かして会長を貶めたいとか?」
「え? そんな面倒なことする?」
「だって会長は彼を社長にしたいんでしょ?」

だから会長を怒らせたくないのではとガンヒョンは言った。

「でも、実の息子ってのはキム・ヨンスさんが思ってるだけかも」

ユル秘書が会長の息子だという証拠は、まだ出ていないのだ。

「まあそうだけどさあ」


結局、明日ファンさんたちには今日のユル秘書のことはきちんと話そうと決めて、ガンヒョンはヨンフンのところに戻った。





そして次の日、ガンヒョンは午前中で店を閉めてくれて、午後、私たちは再び5人で向き合った。

「あの、先にそちらの話を聞かせてください」

ファンさんにそう言われて、私たちは、昨日のユル秘書のことを全て話した。



「彼はどうやって僕たちのことを知ったんでしょう?」

そのファンさんの呟きに返事したのはカン・インさんだった。

「お前が見張られてるんじゃないのか?」
「え、ぼ、僕が?!」
「それしか考えられないだろ。 会見の時にあんな質問したからだな」

インさんは1人で納得していて、ファンさんは何も言えずに押し黙ってしまった。


私じゃなくてファンさんだったのか。
なるほどと、それこそ私も納得した。



すみませんと謝るばかりのファンさんの横で、シンさんは何も言わずに、こちらにチラチラ視線を投げている。
何だろう?


ファンさんは肩を落としたままだし、シンさんは来てから口を開かない。
そのことでインさんが、やっと私たちに話そうとしたようだ。

「あの、こちらで判ったことですが、」





「・・・え?」

何を言われたのかよく判らなかった


「あの・・・、イ・シンさんの子のヘミョンちゃんがソヨンで、そのソヨンは実はシンさんとチェギョンの子だったって言ったんですか?」

ガンヒョンがはっきり口にして、インさんもファンさんも「はい」と口を揃えた。
DNA鑑定をしたらしい。


声も出せない私の前で、シンさんは観念したかのように話し始めた。
結婚や、施設から養女を迎えた経緯を話してくれたのである。
奥さんとの離婚理由も。


以前ソウルで私が見た時は、奥さんはシンさんの隣で笑っていた。
彼も笑顔だったのに。


でも・・・、ソヨンがシンさんの子だったなんて。


話を聞きながらも、私の頭の中はそのことでいっぱいだった。
本当に、ユンギの子だと思っていたのだ。



誰かが写真を見ますかと言って、私の前に携帯が差し出された。
多分シンさんのものだろう。
ガンヒョンも覗き込みに来た。


写真の中の女の子はソヨンの面影があった。
どれも楽しそうに笑っていて、見ている私までが思わず微笑んでいた。

実子として届け出ていて、シンさんのご両親も可愛がってくれているらしい。

ソヨンは幸せそうだ。
良かった。
この幸せを壊すことなど、私には出来ない。



私はその携帯を返しながら、シンさんに言った。

「ありがとうございます。 ソ、いえ、ヘミョンちゃんを大事になさってください」

そしてもうこの場には居られず、私は店を出た。





ぼうっと海を見ていた私は、チェギョンと呼ぶ声で振り向いた。
シンさんだった。

「少し話したい」




「俺、実はチェギョンを恨んでいたんだ」

そりゃそうだろう。
あんなメールだけだったのだから。


シンさんは、あの後、私を探そうともせず、腹を立てていたこと、だからお父さんに言われるまま結婚したこと。
あの事件が起きて、犯人は私じゃないかもと思っていたのに何もしなかったことなどを話して、謝ってくれた。
彼は悪くないのに。


「ガンヒョンさんに言われたよ。 あなただけはチェギョンを信じて動いて欲しかった、チェギョンの事情も聞かずにすぐに結婚したなんてって」
「・・・ガンヒョンがそんなことを?」
「ああ。 堪えたよ」

ガンヒョンのその気持ちが嬉しくて、私はつい微笑んでしまったらしく、シンさんが苦笑いしていた。
そのことで、お互いに変な蟠りは解けたように思えた。




店に戻ろうと歩きかけた時、シンさんが聞いて来た。

「あの、これから、俺からも連絡していいか?」

なんで?

「ファンさんからで充分では?」
「いや、頼む。 俺からも電話していいよな?」
「・・・はい」

今更だと思うが、彼らにはこれからもお世話になるだろうし、私は素直に頷いた。






untrue 14



ソウルに住んでるミンさんがソヨンを育てている。
今は幼稚園に通っているだろうか、小学校は何処に行くのだろう?

5歳なので、今の親が本当の親だと思っているはずだ。
ソヨンが楽しく幸せに暮らしているのなら、私が本当の母親だなどと言わずにこっそり姿を見るだけでいい。
ソヨンのために。
私はそう決心している。




そんなある日、ファンさんからの電話で、父を轢いた犯人が自首したと知った。
キムさんとやらにお金をもらってしたことだそうだ。

そのキムさんに頼んだのは会長だろうか?
でも父を殺す理由は何だろう?

ユル秘書を預けた親戚の事故は、会長ではないかと私は思ってしまっているが、そちらの理由は何となく判らないでもないのだが。

それよりも、今こうしてあの時の犯人が自首したことを、あの人はどう思っているのだろう?


だが、轢き逃げ犯が捕まったのは良かったと、心底思っている。
父もほっとしているかもしれない。

このことで、これから色んなことが判るといいのだが。




そして10日ほど経った日の夕方、突然イ・ユル秘書が私の前に現れた。
明日の野菜を採りに来た畑帰りなので、野菜入りのカゴを持ったまま、私は動くことも出来なかった。




「あなたには味方が多そうですね」
「・・・」

もしかしてシンさんたちのことを言っているのだろうか?
見張りでも付いてるのか?

返事もせずに彼の方を見もせずに歩いている私の横で、ユル秘書は平気で話を続けた。

「その味方さんから聞いたと思いますが、あなたのお父さんを殺した轢き逃げ犯が自首しましたよ」
「・・・」

驚いたふりでもすれば良かったのだろうが、彼が言ったようにそのことは聞いていたので、無視するのが精一杯だった。

「子供を預けた施設も突き止めたようですね、さすがです」
「・・・」

何故知っているのだろう?
やはり私に見張りが付いてるのか?

つい周りをキョロキョロしたことに、ユル秘書が気付いたようだ。

「あなたに見張りなんて付けてませんよ、お金の無駄だ」
「・・・」

どういう意味だ。

「実は僕、その施設育ちなんですよ。 なのでそちらから教えてもらったんです」
「・・・」

つまり、預けた時に頼んでいたということか?
探りに来た人が居たら知らせろと?

では、里親のミンさんのことも知っているのか?


「でも今日はその話をしに来たんじゃありません。 僕に聞きたいことがあるんじゃないかなあと思って」
「・・・」

つい彼の顔を見ると、笑顔だった。
余計に怖いのだが。





「さあ、なんでも聞いてください」

何故か「ガンヒョンさんのところで話しましょう」と言ってくれて、私とガンヒョン、そしてユル秘書は、今ガンヒョンの店で向かい合っている。
店は閉店の札を出していて、3人だけだ。

聞きたいことは色々あるが、何を聞いていいものやら迷っていると、ガンヒョンが口を開いた。

「チェギョンの父親の借金は2億だったそうですね。 でもチョン・ユンギは5億だと言ったとか」
「ああ、それ僕もびっくりしましたよ。 余程チェギョンさんを手に入れたかったんでしょうねえ」

・・・私を?
本当に??

「何故チェギョンだったんですか?」

やはり聞いたのはガンヒョンだった。

「ユンギ自身がこの人を好きだったからでしょう」

ユル秘書は私に笑顔を向けた。
何を考えてるのか判らなくて、ほんとに怖い。

「父子家庭だから御し易いと思ったんじゃないですか?」
「その考えもあったでしょうね。 彼らはそういう類の金持ちですから」

直球で聞いたガンヒョンの問い掛けに、ユル秘書は気の毒そうに神妙に頷いている。
芝居かどうかは判らない。

「つまり、お金があれば何でも出来ると?」
「彼らはそう思ってますよ」
「・・・」


ガンヒョンが口を噤んだので、今度は私が聞いてみた。

「私の父は何故殺されたんですか?」
「実はそのことは、僕は後から知りました。 聞いた話ですが、お父さんは会長に直談判しようとしたらしいです」
「直談判?」

なんの?

「多分、あなたが犯人にされたユンギさん事件のことでしょうね。 内容までは知りませんが」
「・・・」


父のことは気になるが、彼はそれ以上知らなさそうで、私は話を変えた。

「あの、あなたが社長になるという話を聞いたんですが」
「へえ〜、誰に?」
「・・・」

言うとでも思っているのか?

つい彼を見据えてしまったが、彼は口角を上げた。

「元使用人さんとかかな? でも無理でしょ、僕はただの秘書ですよ。 おまけに施設出身です」
「・・・」

やはりそういう理由で、いくら会長でも押し通せないのかもしれない。


すると今度はユル秘書が質問して来た。

「僕の方からもいいですか? 子供の里親が判ったら返してもらうんですか?」
「・・・それは・・・、」
「あなたよりもそちらの方がいいかもしれませんしね」

その言葉が突き刺さり、何も言えなくなった私の横で、ガンヒョンが口を開いた。

「あなたには関係ないでしょう?」
「まあそうですが。 でも、子供が居なくなったのはそれほどのことですかね? 1人になれて楽なのでは?」
「なんてことを・・・!」

ガンヒョンがそう言うのと同時に立ち上がった私は、後先考えずに手が出た。
ユル秘書の頬を叩いてしまったのだ。

「親が子供を思うのは当然よ! あなたに何が判るの?!」


私はそのまま店を飛び出してしまい、落ち着いてから戻ると、既にユル秘書は居なかった。





「怒らせましたね、とか言って帰ったわ。 叩かれたのを見て、私がスッキリした!」

ガンヒョンはそう言って、まだプリプリ怒っていた。

「でも、もしかしてあの人、会長のこと恨んでるのかな?」
「恨んでる?」
「ほら、再婚するために彼を親戚に預けたんでしょ? 挙句施設に入れられてさ」
「・・・」

そうかもしれない。
だから、1人になれて楽、なんてことを言ったのか?
可哀想な人だ。




このことをファンさんたちにも知らせようと電話すると、明日にでもそちらに行くからその時に話を聞くと言われた。
こちらの住所は、初めて会ったあの日の帰り際に知らせていたのだが、ソウルからは遠いのに。

『午後には着きます。 こちらでも判ったことがあるので、ゆっくりお話ししましょう』
「わかりました」



判ったこととはソヨンのことだろうか?
だが、ソヨンが幸せなら名乗り出ないことは、ガンヒョンにも伝えている。

『うん、判るわ。 ソヨンのためなら仕方ないものね』

彼女はそう言ってくれた。
ソヨンのためなのだ。

明日は、何を聞いても取り乱さないようにしようと、私は心に決めた。